待ったなし!団塊世代の後期高齢化・・・介護不足解消の知恵『埋もれた資源の活用』

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   1964年の東京オリンピックをピークに、東京など大都会へと約800万人の若者たち流入し高度経済成長を支えた。その団塊の世代があと10年で後期高齢者となる。民間の有識者でつくる日本創生会議の試算によると、2025年までに東京、神奈川、埼玉、千葉で75歳以上の高齢者が175万人増加し、介護施設、介護を担う人材不足から13万人が行き場を失うと予想されている。

   こうした深刻な状況を打開しようと、高齢者の地方への移住や外国人による介護者の受け入れ、介護施設の整備などが提案されているが、遅々として進まない。一方、できるだけ施設に頼らず、家族にも迷惑を掛けず、住み慣れた自宅や地域で余生を暮したいという高齢者も多い。そんな希望を実現させようと、東京圏で『埋もれた資源』を見直し、介護や医療に活用する取り組みが進められている。

「公営住宅空き部屋の高齢者向け賃貸」「老人ホームのベッドシェアリング」

   東京・日野市に高齢者が次々移り住んでいる大規模団地がある。築50年の団地の空き部屋を高齢者向けにリフォームし、月10~14万1000円(サポート料4万5000円、共益金は別)で貸し出しているのだ。

   78歳の男性は日野市内の戸建て住宅を手放し、夫婦でここのワンルームに移り住んだ。バリヤフリーで整備され、体調が悪化した時はすぐに応じてくれる通報装置もある。選んだ決め手の一つは団地内に介護施設が併設され、いざという時に訪問介護が受けられることだった。今では、移り住んできた60世帯の仲間たちと暮らしを支え合うための模索を始めている。

   東京・渋谷にある特別養護老人ホームでは、在宅者と入所者が3か月を限度に交互にベッドを利用し合うベッドシェアリングを行っている。現在、5つのベッドがシェアされていて、10人の待機者の解消に役立っている。専任の理学療法士が筋力アップのための歩行訓練なども行い、自宅へ戻ったときに自立した生活ができるよう取り組んでいる。101歳の女性は在宅時にもトイレの立ち上がりが自分でできるようになり、「家が一番いい」と言う。

   ただし、これだけでは増え続ける高齢者にとって不十分である。在宅高齢者の医療や介護を担う人材の不足をどうするか。千葉・柏市では地域全体で在宅高齢者を医療面で支える取り組みを始めた。

   きっかけは高齢者のベッド不足だが、白羽の矢を立てたのが診療所の医師など地域に埋もれた医療人材だった。主治医が緊急で在宅治療ができない場合を想定して、代わって治療する副主治医体制も整備された。薬剤師、看護師、ケアマネージャーもネットワーク化している。現在、1300人の高齢者が利用しているという。

自宅か施設かではなくなく両方のいいとこどり

   国谷裕子キャスター「少しでも今ある資源をフル活用する仕組みは大きいと思いますが、感想はいかがですか」

   高齢者の暮らしや住まいに詳しい高齢者住宅財団の高橋紘士理事長がこう答えた。「今までは自宅か施設かだったのが、その中間系のベッドシェアリングができました。在宅と施設のいいとこ取りと思います。そのことによって、在宅生活を継続する可能性が増え、結果的に施設の利用期間が短くなるメリットがあります。医療やケアがいざ必要だという時に、身近なところに届くサービスは今後も切り札になっていくと思いますね」

   ここに挙げた取り組みは東京圏の中の点にしか過ぎず、多くの地域で『埋もれた資源』は眠ったままだ。たとえば、老朽化が進む公営住宅の空き家は、東京だけで68万4600戸(2013年)もある。埋もれた資源の活用が急がれる。

モンブラン

*NHKクローズアップ現代(2015年10月14日放送「安心できますか?『大都市での老後』~在宅ケアの新たな取り組み~」

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