2024年 3月 29日 (金)

田中邦衛「健康不安説」地井武男、高倉健、菅原文太・・・友人次々亡くなり精神的落ち込み

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   私は田中邦衛(82)という役者が大好きだ。「北の国から」(フジテレビ系列)の黒板五郎役は絶品だったが、若大将シリーズの青大将や高倉健との網走番外地シリーズなど、名脇役という言葉がこれほど当てはまる人はいない。

   もう40年近くになるだろうか、雑誌のグラビア撮影のために京都のイノダコーヒーで待ち合わせ、京の町をブラブラしながら1日話を聞いたことがある。ボソボソとした話し方、ときどき熱くなるとツバを飛ばしそうになるところはスクリーンそのまま。(高倉)健さんのことを語るときは優しい目が嬉しそうに大きく垂れ下がった。多くの人間をインタビューしてきたが、このときほど暖かいものに包まれるような雰囲気で話を聞いた経験は、その後もない。

   田中は麗澤短期大学卒業後、中学の代用教員を経て、俳優座養成所の試験に3度目で受かった。だが、俳優としてスタートを切ってからは順風満帆そのものだった。彼の姿を久々に見たのは2012年8月、「北の国から」で共演した地井武男のお別れの会だった。

   今年6月に「北の国から」のプロデューサーだった恩人の葬儀に参列しなかったことから、田中の健康不安説が再燃していた。『週刊ポスト』によれば、<現在、田中は介護付き有料老人ホームに入居している。月額利用料は家賃に食事、管理費等を含めて20万円超と、その地域の相場を考えても一般的なもので、有名俳優が入居する施設としては決して豪華なものではない>

   田中を知る関係者がこう話している。<「ホーム内では車椅子での移動が基本。部屋で過ごすことが大半ですが、食堂やホールに顔を出す時は介護士が付き添います。(中略)やはりテレビで見かけた頃より痩せた印象は否めません。毛染めもやめているので白髪も目立ちます。ただ身体的に問題があるわけではありません。気懸かりなのは、最近はふさぎ込みがちなことだそうです」>

   田中の知人によれば、<「地井さんが亡くなった時は本当に落ち込んで、余りの憔悴ぶりに(高倉)健さんが自宅に電話をかけて気遣ったほどでした。でも、その健さんも昨年11月に亡くなり、続けて親交のあった菅原文太さんまで逝ってしまった。最近の邦衛さんが、精神的にも肉体的にも相当参っているだろうことは容易に想像できました」>

   年齢的なものより精神的なもののほうが大きいのであろう。田中の奥さんは、本人はしっかり足を治してから帰ってくるといっていると話し、気弱になっているところは微塵もないというが、心配である。地井の葬儀のとき田中が呼びかけたように、こういいたい。「クニ兄、もう一度スクリーンで会いたいよ」

警視庁は「春画はわいせつ図画」!週刊ポスト編集長1年に2回も呼び出し

   先週、『週刊文春』の編集長が「春画」を掲載したために3か月の休養をとらされたことを書いた。今週、新谷学氏から木俣正剛氏に編集長が替わった。木俣氏は知っているが、剛毅な人である。この問題についてひと言あるかと誌面を舐めるように見たが、まったく触れていなかった。

   週刊ポストがこの件について識者たちの意見を聞いている。鹿島茂氏(フランス文学者)は「『週刊文春』の春画グラビアを問題にする必要は全然ないと思います」、小林節氏(憲法学者)は「春画はあちこちで見ることができる。出版物も多数ある。ということは、社会通念上、春画は違法扱いされていない。よって、春画はすでにわいせつではない。そのように考えて問題はありません」

   呉智英氏(評論家)は<「ポストならいいが文春なら問題だ」>とし、性表現には<「(学校の近くにラブホテルは建てられないというような)ゾーニング」>が必要で、性表現は自由だが、見られる場所は制限があってしかるべきだという。ロバート・キャンベル氏(日本文学者)も<「雑誌はいつ誰がみるかわかりません。春画を掲載することで、不愉快に思う人もいると思います。その扱い方には、配慮が必要です」>

   批判派の意見は、私がヘア・ヌードブームを作り出した頃と変わっていない。「見られる場所を制限しろ」というのは性表現の自由を蔑ろにするもので、週刊ポストはいいが週刊文春はいけないという「理屈」もさっぱりわからない。

   週刊文春がジャ-ナリズム雑誌だというのならば(ほんとはそう思っていないのかもしれないが)、性表現の自由にも堂々と挑戦してお上と一戦交えてほしいものである。

   気になるのは、週刊ポストがこう書いていることだ。<警視庁は春画を「わいせつ図画」だとみなし、本誌を含め春画を掲載した週刊誌数誌を呼び出し、『指導』を行っている。本誌編集長もこの1年間の間に2回、呼び出しを受けた>

   その際、以前から春画を掲載してきているのに呼び出しを受けなかったが、警視庁が方針を変更したのかと問うたが、明確な返答はなかったという。何ら明確な基準を示さず、思いつきのように呼びつけ恫喝するやり方は戦前から何も変わっていない。権力は一番手を突っ込みやすいところから入ってくる。

昔、講談社には告訴されたときの担当部署がなく、年配の人が一人でその処理をやっていた時期があった。私がやった記事が某女優から名誉毀損で訴えられた。その人は、こんなものは謝って早くケリを付けちゃいましょうといった。私はこちらの取材に落ち度がないのだから謝る必要はないと突っぱねたが、その御仁、芸能なんかはどうでもいい、政治権力とやり合うときは全力で闘いましょうと、私を無理矢理連れて女優に頭を下げさせ、いくばくかのカネを払った。

   それからしばらく後、政治家のスキャンダルをやって3億円の名誉毀損裁判を起こされた。その時は件の人は闘うどころではなく、真っ青になって何の役にも立たなかった。何をいいたいかというと、性表現の自由と闘えないものが言論・表現の自由と闘えるわけがないということである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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