認知症じゃないのに「認知症診断」1年で3583人!誤った投薬や治療で症状悪化

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   東京都内に住む70歳代の女性は2年前にアルツハイマー型認知症と診断された。1年半ほど認知症の治療薬を飲み続けると、手足のふるえが出て、「ちょっとしたことでも直ぐに怒るし攻撃的口調になった」と夫は言う。本人も「すぐに興奮してカーッとなります」と認めていた。薬が合っていないのではと医師に相談しても、まったく聞いてくれなかった。

   そこで認知症の専門医の受診をした。新百合ヶ丘総合病院の堀智勝医師は言う。「認知症の判断は丁寧な問診で症状の発症時期や度合を聞き出すこと、認知機能テスト、そしてMRIなどの画像検査の3本セットです。この患者さんの場合は、問診もごくわずか、認知機能テストは行っていませんでした」

   この女性の画像検査で堀医師は「脳の委縮は年相応で認知症ではない」と診断した。

   広島市の80歳代の男性は昨年6月に重い認知症と診断された。心不全で入院した時から夜中に子供が歩くと幻聴を訴えた。退院後はシャツの袖に足を入れたり、ズボンの二重履きなどの奇行が現れたが、妻は以前に看病した実母のアルツハイマー型認知症とは違うと疑問を持った。

   長女がインターネットで症状を調べると、「夫は認知症ではなく『せん妄』ではないかと気づきました。入院などの環境の変化と1日に8種類もの薬を飲み続けていた副作用で、意識が混乱していたんです。医師に頼んで薬を減らしてもらったら症状が収まり、認知症のテストを受けたら認知症ではないという結果が出ました」(妻Aさん)

家族が気づく「アルツハイマーの症状じゃないみたい」

   NHKが行った調査で、「実際には認知症でないのに認知症と診断されていた人」が、全国で去年1年間に3583人もいたという。逆に、認知症なのにうつと判断されているケースも少ない。誤診はどうしたら気付けるのか。順天堂大学大学院の新井平伊教授はこう話す。

「認知症の患者さんの症状は急激に悪化する事はありません。徐々に進行します。また、副作用などの症状は小まめに記録しておくこと、薬の情報は薬剤師に聞けばある程度わかります。医師の治療方法に疑問を抱いたらば、他の専門医に相談するべきです。セカンドオピニオンとして」

   全国に460万人人いると推計されている認知症に、専門医は約2000人しかいない。まず、この現状を何とかしないと『誤診』はなくなりそうもない。(磯G)

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