アインシュタイン魅了した「日本の品格」わが祖国の美しさあらためて認識させた鮮やかなドキュメンタリー
<アインシュタイン 美しい国 日本を旅する>(BS日テレ)

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   まことに美しく爽やかなドキュメントを見た。四国の舞中島という土地の9代目の医者の三宅速(はやり)は、1922年に視察先の欧州からの帰途、北野丸の船内で、病気になったアインシュタイン博士を診察して、以後、知己を得る。アインシュタインは改造社社長・山本実彦の招きでエルザ夫人と共に日本への旅行の途中だった。
   アインシュタインは当時43歳、途中の香港でノーベル賞受賞の知らせを受けたが、後の授賞式は日本が気に入って欠席するほどの日本びいきになったそうだ。瀬戸内海から神戸港に入り、以後、東京の大学(慶応、東大、早稲田など)で講演し、仙台、京都、奈良、宮島などなど各地を回り、大歓迎を受け、ノートにびっしりと日記を書き、日本人の本質を喝破し、八雲の愛した神秘の国をめでた。
   とにかく何が驚いたといって、かのアインシュタインについて、筆者はヴァイオリンを弾く高名な物理学者程度にしか認識がなかったし、彼のアメリカ亡命後の原爆との関連発言で好感を持っていなかったので、今回の日記にはひっくり返るほど吃驚した。三宅速の孫の女性の原案だとかで、最初は身内自慢かと引いて見ていたのである。三宅の墓碑銘もアインシュタインがドイツ語で書いている。
   名演出家・重延浩の手にかかると、博士の愛したモーツァルトが全編に響く中で、かくもわが祖国は美しいかと改めて瞠目する風景の静謐さ、もてなしの優しさを再認識する鮮やかな1編になった。(放送2015年11月1日16時~)

(黄蘭)

採点:1.5
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