2024年 4月 23日 (火)

同性カップル「パートナーシップ証明書」に期待する「認められたい」世界20か国以上で法的承認

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   同性愛者や性同一性障害者の数は7・6%、13人に1人の割合だという。アメリカ連邦最高裁判所は今年6月(2015年)、同性婚をすべての州で認める判決を出した。すでに世界20か国以上で同性婚は法的に承認されている。最近ではサッカー女子アメリカ代表のアビー・ワンバックや歌手のエルトンジョンら有名人が同性婚を名乗り始めている。

   日本でも東京・渋谷と世田谷の両区が結婚に準ずるパートナーとして認定する制度をスタートさせた。多様性を尊重し一人ひとりが自分らしく暮らせる社会を目指し、同性愛者が偏見、差別で被っている社会的な不利益を是正しようという狙いだ。

東京・渋谷区に申請準備中のゆきさん「母を傷つくることに・・・」悩みは家族の壁

   渋谷区内に住むゆきさん(仮名)はこの4月から一生の伴侶として同性のりえさん(仮名)と暮らしている。パートナー証明書の発行を検討していた渋谷区内へ転居し、年内の取得を目指している。

   法的には不完全な状態の証明書だが、それでも取得を願うのは「ずっと認められずに生きてきたから認められたいという気持もありますし、彼女という存在と私という存在がいるんだということをもっと訴えたいから」と話す。

   女子高時代は先輩に憧れる友人も多く、自分が女性に好意を抱くことにさほど違和感はなかった。男性がいる大学へ進学しても魅かれるのは女性だった。親にも気持ちを伝えられず悩みは深まる。同性愛者の集いに参加するようになり、出会ったのがりえさんだった。誠実な人柄に魅かれ、将来もずっと家族として生きていきたいと思うようになったという。

   しかし、越えられない壁が待っていた。1年前に自分の正直な気持ちを母親に伝えた。その母の反応が手紙で返ってきた。「私は普通に結婚し子供を産んで普通の生活をしてもらいたかった。2人が会うのがとても嫌でした。本当は会わせたくなかった」

   ゆきさんは「母が大好きだったので、一番大切だった人が傷つくんだという思いでいたたまれなかった」と語る。どうしたら自分たちの関係を認めてもらえるのか。第一歩として考えたのが渋谷区の証明書をまず取得することだった。

問われる社会の多様性!法律の対応どう進めるか

   国谷裕子キャスター「行政による同性カップルの承認は当事者の方々にとってみると、大変重いものなのですね」

   婚姻制度や同性婚に詳しい早稲田大学の棚村政行教授はこう答える。「やっと晴れて自分の言葉で自分たちの関係を表現できるということなんです。社会が存在を認めてくれただけで、大きな喜び、生きる自信が出てきた非常に大きな出来事なのだと思います」

   ゆきさんの母親から次のような手紙が取材スタッフに届いた。「男の人と結婚しても幸せになるとは限らない。それなら本当に好きな人と一緒にいる方が良いのではないかと思うようになりました。しかし主人には話せません。親戚にも話したくありません」

   娘を思う母親の気持ちが痛いほどわかる。この母娘の悩み、思いは、同性カップルをめぐって当事者や家族が抱えるごく一般的な例なのだろう。母親は熟慮の末、多少あきらめも含め納得したのだろうが、壁が取り除かれたわけではない。

   現実問題として、同性カップルが被っている社会的不利益も根強くある。不動産契約を断られる、診察でも同席拒否、生命保険の受取人になれないなどは徐々に緩和されているというが、配偶者控除を受けられないなど法律上クリアできない問題もある。

   同性愛者たちは偏見や差別に臆せず声をあげ始めた。社会はどう向き合えばいいのか。問いかけは始まったばかりだ。

モンブラン

*NHKクローズアップ現代(2015年11月18日放送「『家族』と認めてほしい~同性パートナーシップ承認の波紋~」)

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中