温暖化歯止めのラストチャンス!COP21の焦点「排出大国」中国・インドが削減合意するか

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   地球温暖化によって、今世紀末までに地球の平均気温は5・4度上昇し、飢餓やマラリアなどが猛威を振るい、海面上昇による被害が東京にも押し寄せると指摘されている。食い止めることができるのか。京都議定書に続く2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みについて、新たな合意を目指すCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)が今月30日(2015年11月)からパリで開かれる。

   温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減で、先進国と途上国が合意できるか。ラストチャンスといわれているCOP21を控え、2夜連続で取り上げた。1回目は、責任は先進国にあるとして自国経済を優先してきた中国とインドの最近の動向だ。

習近平「2030年ピークに削減」国内の大気汚染もはや無視できず

   温暖化の最大の原因とされている二酸化炭素(CO2)排出量は世界全体で2012年は317億トンだった。最も多い中国が26%、2位アメリカ16%、3位インド6・2%だ。この3か国がダントツに多く、京都議定書にもとづき削減が義務づけたれていたEU(15か国)8・9%、ロシア5・2%、日本3・9%、その他4・6%となっている。

   COP21に先立って、途上国を含めた170か国が削減目標を提示しているが、すんなり合意に至るにはハードルが高い。注目されるのは、姿勢を大きく転換させた中国だ。9月(2015年)に行われた米中首脳会談で、習近平国家主席は「各国と歩調を合わせCOP21に大きな成果を上げることを目指す」と言明した。中国がCOP21に提出したCO2削減目標によると、国全体の排出量を30年ごろをピークとし減少に転じさせるという。

   これまで削減に後ろ向きだった中国が削減にカジを切ったのは上出来だが、背景には中国が抱える国内事情にある。工場や東北部の家庭では冬場は石炭を暖房燃料として大量に使う。石炭はCO2を多く出す燃料だが、価格が安いために広く利用されている。しかし、これが深刻な大気汚染をもたらし、一部の都市では社会不安の動きすら出ており、大気汚染対策を求める国民の声を無視できなくなっているのだ。途上国からの中国は大国として削減に寄与すべきだという突き上げも無視できなくなっている。

   国谷裕子キャスター「中国のCO2削減目標の一つは30年を最大に下げていく。もう一つは30年までに05年比でGDPあたり60~65%削減というもので、非常に分かりにくいのですが、本気度をどう捉えたらいいのでしょうか」

   地球戦略研究機関の田村堅太郎・上席研究員はこう解説する。「ピークアウトを30年と具体的に発表したのは対外的に大きなことです。ただ、温暖化や気温の上昇を食い止めるには、なるだけ早い時期、しかもなるべく低い排出レベルにしてもらわないといけない。実際、中国国内でも時期をいかに前倒しできるか議論が進んでいます。(目標値については)いま採ろうとしている対策ならほぼ達成可能だと多くの専門家はみています」

各国の目標達成できても地球平均気温3・5度上昇

   インドもCOP21に向けてCO2排出量を30年までにGDPあたり05年比33~35%削減を掲げている。30年をピークにしているのは中国と歩調を合わせたのだろうが、インドは先進国への注文がついている。目標達成のために30年までに太陽光パネルなど再生可能エネルギーを大々的に導入する計画だが、その費用を100兆円と見込んでいるのだが、温暖化をもたらした最大の責任は先進国にあるとして、資金・技術両面での支援を要求している。

   国谷「他の途上国はこのインドの主張をどうとらえているのでしょうか」

   田村主席研究員「インドは途上国のなかでも強硬派の立場を代弁しているんです。ただし、途上国も一枚岩ではなくなってきています。コスタリカやペルーなどのラテンアメリカの一部の国では、途上国も能力に応じた責任を取るべきだと主張を始めており、明るい話題もあります」

   すべての国が目標を達成したとしても、地球の平均気温は今世紀末までに最大3・度上昇する可能性があると国連環境計画が試算している。現在、地球の平均気温は14度前後だから17・5度に上昇すると地球はどうなるか。それでも温暖化を食い止めるには前に進めるしかない。田村主席研究員は「合意への勢いが盛り上がっていることから、今回の会議こそ目標達成へのラストチャンス」と指摘している。

モンブラン

*NHKクローズアップ現代(2015年11月25日放送「シリーズ瀬戸際の温暖化対策① 世界は一つになれるか」)

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