平岳大「性善説が背広着てるような安曇野の守り神」ひっそりとした夫婦像、見事な北アルプス・・・拾い物のドキュドラ
<蝶の山脈 安曇野を愛した男>(BSプレミアム)

印刷

   虫嫌いの上に(特に幼虫の写真をみるとムシズが走る性格)、登山は疲れるという筆者には、全く知らない世界の人のドキュメンタリードラマで、おっかなびっくり見てみたら、美しい世界があった。その業界では超有名らしい蝶の研究家にして山岳写真家の田淵行男の一生である。夫人(日出子)と2人の子供がいて、長男には穂高という名前を付けたほどの、安曇野の守り神のような人である。
   田淵行男(平岳大)と日出子(奥貫薫)夫妻は子供を連れて昭和20年戦争末期に安曇野に疎開する。行男は一見、金にもならない北アルプスへの登山と、標高1000メートルから3000メートルにしか生息できない高山蝶の観察に魅せられて家計はほったらかし。日出子は苦労続きだが、ひたすら我慢して夫を支える昭和の妻の鑑である。
   ドキュメントの部分は田淵行男記念館に収蔵されている見事な彼の蝶の細密画や写真の数々、夫妻と親交のあった笠原元歯科医らの証言など、田淵の、凝り性だが性善説が背広を着ているような人柄の温かさが、昭和の理系の男らしくて心地よかった。1つ気になったのは、戦時中の日本人は総て服の胸に白布を縫い付け、それに住所や氏名、年齢、血液型まで書いておくのが決められていたので、それがなかったのは残念。
   平と奥貫の夫婦像もひっそりとした佇まいでよく、何より日本の背骨・北アルプスの雲海と沈みゆく太陽の映像の見事さが素晴らしかった。何物にも代えがたい自然だ。(放送2015年11月29日22時~)

(黄蘭)

採点:1
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter

このエントリーはコメント・口コミ受付を終了しました。

注目情報PR
追悼
シニアの健康ライフ
Slownetからのおすすめ記事(提携)

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中