「投資移民」東京都心マンション爆買い!経営管理ビザ利用して永住狙いの中国富裕層

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   東京都心の不動産を目がけて中国などの投資マネーが押し寄せ、爆買いに走っている。外資系法人による日本の不動産取得額は、2014年は過去最高の9817億円にのぼった。これは国内すべての不動産取引の2割を占める。

   ターゲットになっているのは東京で、商業地や住宅地の地価は2年連続で上昇しているが、海外投資家から見ると他のアジア主要都市に比べまだ割安感があるという。たとえば、マンション投資の利回りは上海1.9%、香港2.6%、台北1.7%、シンガポール3.3%に比べ、東京は3.6%と高い。

   2020年オリンピックを控えて、東京を中心に不動産価格はこの後も上昇し続けるとみられており、安定的な投資先として捉えられているらしい。

1度も来日せずネット情報だけで次々購入

   買い手として存在感を強めているのが中国、香港、台湾の投資家だ。仲介する不動産会社にはこれらの国から購入の問い合わせが殺到し、1か月に100件を超える。

   人気の中心は都心で売り出された1億円未満のマンションだ。来日してその場で即断、購入する客が多く、なかにはビル1棟を丸ごと購入するケースもある。こうした爆買いを加速させているのがインターネットによる不動産取り引きで、物件情報を中国語サイトに公開しているネット専門の不動産仲介会社によると、顧客の8割は1度も来日しないでネット情報だけで購入するという。

   なぜ値下がりするかもしれない不動産をあさるのか。中国では上海を中心に不動産価格はこの10年で3.3倍に高騰した。ところが、最近の経済変調を受けて下落し始めた。かろうじて持ちこたえている上海も、投資先としてのうま味はなくなっているという。

   加えて、8月(2015年)の人民元切り下げに象徴される中国政府の突然の決定がある。「何の兆候もなく政府が決めることが不安要素になっている」と不動産業者は話す。4年前にも政府は2軒以上の住宅購入を制限する規制を導入した。翻弄された富裕層は嫌気がさし、海外への投資を加速させたという。

   キャスターの国谷裕子「日本では少子高齢化で空き家問題もあり、どれだけ不動産の実需があるのか。本当に投資をしても損をしないと捉えているのでしょうか」

   アジアの不動産投資の実態に詳しい日本不動産研究所の愼明宏参与はこう解説する。「中国で不動産市場で民間が売買できるようになったのは、改革開放以降で歴史が浅いんです。一般国民は不動産投資について軽く見ているという事情があります」

PM2.5蔓延など大気汚染に嫌気して中国脱出

   国谷「日本にとって買って欲しくない場所もあると思うのですが、日本には全体像を把握する仕組みはあるのですか」

   愼参与は「残念ながら日本にはそういった仕組みはまだありません。地方自治体が条例で網掛けはしていますが、規制が厳しいわけではありません。天然資源や水資源はある程度の網掛けは必要と思うのですが・・・」といって、英国の例を紹介した。英国では不動産購入した時点で登録が義務付けられており、誰がどういった不動産を購入したかデータベース化によって管理ができているという。

   さらに、最近は不動産投資を通じて日本への永住権を取得する「投資移民」の存在も浮上している。日本には投資移民そのものの制度は存在しないが、代わって在留ビザの一種として「経営管理ビザ」がある。日本で事業を立ち上げ、軌道に乗って10年間ビザを更新し続ければ永住権を申請できる仕組みだ。

   米国では50万ドル以上の投資をすれば永住権が付与される制度があるが、最近は制度の見直しに入っている。カナダも同様の制度があったが、連邦政府が昨年取り止めている。日本の経営管理ビザ取得は甘いらしく、PM2.5に象徴される大気汚染に嫌気した中国の富裕層などが、このビザを通じて永住権取得を目指す動きが増える一方という。そうした動きにどう立ち向かうのか、日本政府の対応はまだ見えてこない。

*NHKクローズアップ現代(2015年12月2日放送「東京を買う中国マネー~不動産爆買いと『投資移民』~」)

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