<サクラメント 死の楽園>
「カルト教団」洗脳された妹救出!無気味な教祖と能天気な信者たち...914人集団自殺の実話

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(C)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC
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   カメラマンのパトリックは連絡が途絶えていた妹・キャロラインから奇妙な手紙を受け取る。妹は遠くの田舎で共同生活をしているはずなのだが、手紙にきな臭さを感じ、友人のジャーナリストのサムらと取材を装って様子を見に行くことにした。飛行機、ヘリコプターを乗り継いでたどり着いたのは道路もないだだっ広い草原であった。

   再会したキャロラインは、ここで暮らせるのは「ファーザー」のおかげだと繰り返す。集団生活は牧歌的な「地上の楽園」のように見えるが、パトリックはカルト教団の洗脳によって支配されていること気づき、妹を助け出そうとするのだったが・・・。

事実は映画より奇なり

   1978年にガイアナで起きたアメリカのキリスト教系カルト教団「人民寺院」による914人の集団自殺をベースにしている。映画のカルト教団「エデン教区」の教祖ファーザーは、説法をするわけでもなく、奇跡を演出したりもしない。社会に対する怒りもない。信者たちが享受しているのはただのどかな生活のみである。カルト教団というよりは、1960年代のヒッピーコミュニティーに近いものがある。

   行き場を失った人間にとって、生産性のない場所が「地上の楽園」というのは皮肉な話だが、サムの「ずっとここにいろと言われればイヤだけど、期間限定で住むのならありかも」という台詞は、人間の心理を突いている。

   共同体そのものが不思議で、恐怖をはらんでいるのだが、映画はまったくと言っていいほど怖くない。役者の目線に合わせた「Point of View Shot」(主観ショット)で撮られた演出も視覚的にスリリングなだけで、心理的な不安は生んでいない。

   この映画の最も恐ろしいのは、こんな疑似ユートピアを作ったファーザーなる男だ。人の弱みに付け込み、人々を洗脳する。ユートピアを設立したきっかけは何だったのか、どのような半生を送ってきて、どのような闇を心に抱えたのか。それが「エデン教区」の実態とつながっていく

   怪事件を題材にし、事実は映画よりも奇なりという印象は拭えないが、この事実があったということが映画としての機能を辛うじて保っている。(配給:東京テアトル、日活。角川シネマ新宿レイトショーほかにて公開中)

おススメ度☆☆

丸輪太郎

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