2024年 4月 19日 (金)

肝心の地震の時に崩落?「橋の耐震補強」安全装置手抜き!全国で556か所

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   阪神淡路大震災のあと、国が進めてきた橋の耐震補強工事で橋脚に取り付けられた安全装置の部品が、意図的に手抜きされていたことが明らかになった。わかっているだけで45都道府県の556か所。手抜き部品を作っていたメーカーは12社に及ぶ。

   発端はこの7月(2015年)のことだ。京都市内の幹線国道の勧進橋の工事で、「部品が注文通りに作られていない」という匿名の通報があった。調べてみると、耐震安全装置86点の7割が不良品で、部品の溶接部にすき間があった。

   この道路は災害時の救助・救援に使われる「緊急輸送道路」の指定を受けており、橋は絶対に落ちてはならない。安全装置はいわば「命をつなぐ装置」だ。国土交通省などの実験では、部品のすき間から亀裂が生じて破断してし、想定の強度を満たさないことがわかった。

検査に出すのは正しく作った部品だけ

   手抜き部品を作っていた福井市の久富産業は従業員30人の中堅部品メーカーだ。元請けの聞き取りに答えた内部文書によると、「加工時間を短縮するために 溶接工程を意図的に省いていた」「正しく作った部品だけを検査していた」とあった。会社ぐるみの不正だと認めた。

   検査は外部の検査会社が行っていたが、検査員は久富産業を10年も担当していて、「傷がみつかっても言わないで」という要請を断れなかったという。不正に加担していたのだった。

   溶接の工程はくさび形の片側から溶接したあと、反対側から削りを入れてすき間をさらしたうえで、溶接する。「完全溶け込み溶接」といって、強度が確保される。この「削り」を省いていたためすき間ができていたのだった。

   これを12社がこぞってやっていた。その1社の幹部は「長年の習慣になっていた」といった。見つかった不正はこの5年ほどに集中しており、数はまだえるともいわれる。

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