2024年 4月 25日 (木)

野坂昭如「無頼を気取った育ちのいい紳士」シャイな自分隠すための酒とサングラス

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   野坂昭如さんとはほとんどお付き合いはなかったが、講談社にはよく来ていて、エレベーターで一緒になった。トレードマークのサングラスがとても格好良かった。私も真似て黒のメタルフレームのサングラスをかけていたことがある。あるとき、野坂さんが私のそれを見て何やらいいたそうにしていたが、そのまま別れた。その後、某パーティで会ったら、私と同じメタルフレームに変えていた。

   野坂さんに原稿を頼み、神楽坂の和可菜にもらいに行ったことがある。このときは無愛想な野坂さんで、原稿の入った封筒を放り投げるように渡したきり、背を向けてしまった。Barやゴールデン街などで会う酔っ払い野坂さんは、呂律が回らず何をいっているのかよくわからないが、誰彼かまわず話しかけてきた。

   基本的にシャイで繊細な人であったと思う。『週刊新潮』で元タカラジェンヌで奥さんの野坂暘子さん(74)がこう話している。<「お酒といえば、サングラスと同じく、『シャイな自分を隠すため』なんて世間で言われていた通り、野坂にとっては気付け薬のようなものでした。(中略)それでも家庭では、本当に丁寧な人でした。私は、名前を呼び捨てにされたり『おい』なんて言われたことは一度もなく、結婚当初からずっと『あなた』と呼ばれていました。元来育ちは良い人で、食事のマナーも実にスマート。養子に行った先の神戸のお宅でも、相当に厳しく躾けられたのだと思います」

   「エロ事師たち」で作家デビューし、作詞した「おもちゃのチャチャチャ」で日本レコード大賞童謡賞を受賞。67年に「火垂るの墓」などで直木賞を受賞し、74年には氏が編集長をしていた雑誌に掲載した「四畳半襖の下張り」がわいせつ文書販売容疑で摘発されると、敢然と法廷闘争を挑む。小沢昭一、永六輔と「中年御三家」を結成して武道館でライブを行い、田中角栄の金権政治を批判して旧新潟3区から出馬するなど、常に時代を挑発し続けた人だった。

   だが、03年5月に心筋梗塞で倒れてから、夫人との二人三脚が始まった。暘子さんによれば、発症してからあれだけ好きだった酒とタバコをキッパリ止めたという。右手が動かなくなり夫人に口述筆記をしてもらっていた。議論好きが喋ることも叶わなくなってしまった。

   <「それなのに野坂は、ついに死ぬまで、ひと言も文句や不平不満を口に出しませんでした。どれだけ苦しかっただろうと思います」(暘子さん)>

   焼け跡闇市派と称していた野坂氏は、最後まで<「『戦争について語るために僕は生きているんだ。日本が目の前で崩れていくのが見えるようだ。もっともっと戦争の恐ろしさを伝えていかなくてはいけない』」(暘子さん=週刊文春より)>といっていたという。享年85。

安倍首相の腹積もりは消費税10%再延期!来夏の衆参ダブル選挙に大勝して一気に改憲

   2017年に消費税を10%に引き上げる際、軽減税率を導入することが決まったが、その対象をどこまでにするのかで自民・公明の協議が進まず、結局は公明党に押し切られた形で、生鮮食品と加工食品まで含めることで一応決着した。

   週刊新潮は1兆円まで膨らんだ財源をどうするのかの当てもなく大風呂敷を広げたのは、来年の参議院選挙で公明党の協力がなければ選挙を戦えないと考えている菅官房長官が、反対派を恫喝して押し切ったと報じている。つまり、「6000億円の税金を使って、官邸が公明党からの選挙協力を買ったと見られても仕方がない」(法政大学経済学部小黒一正教授)>のである。

   形振り構わない菅と安倍首相のやり方だが、新聞メディアの追及は形だけである。なぜなら、読売新聞の渡辺恒雄氏を先頭に「新聞に軽減税率を」という政界工作が実り、晴れて適用されることになったからだ。適用されるかどうか定かでない出版界からは、当然ながら不満の声が吹き出しているが、知らん顔である。

   だが、消費増税は安定した社会保障を続けるために合意されたので、このような政争の具に使うためではない。しかも、1兆円の財源を確保するためには、低所得者の医療や介護の負担を減らして、そっちへ回すことになるのは間違いないはずである。

   ここへきて官邸が軽減税率で大幅譲歩をしているのは、安倍首相は10%引き上げをやる気はなく、来春に「増税は凍結する」と発表して、その勢いで参院選と衆院選のダブル選挙に持ち込み、大勝しようという腹づもりだという見方が週刊誌では多くなってきている。

   『週刊現代』はダブル選挙が行われれば、自民党は単独で衆議院323、参議院127という史上最大規模の議席数を獲得すると予測している。これに公明党、おおさか維新といった与党・準与党勢力を合わせると、安倍自民党を中心として衆議院で400議席を超える空前の独裁勢力が誕生する。

   そうなれば、総裁就任後、4回の選挙ですべて圧勝ということになる。もはや安倍総理を辞めさせる必然性もなくなり、東京五輪後の21年まで安倍政権を維持しようという意見が盛んになるとしている。

   だが、週刊現代が調べてみると、安倍政権を積極的に支持している人は、自民党に票を入れている人の中にもほとんどいないというのである。これに比べて、野党支持者には「憲法を無視する与党を許すことはできない」「沖縄で起きていることを何とかしてほしい」といった具体的な意見が多かったそうだ。

   週刊誌が今やるべきことは、安倍自民党が大勝するといった「当たり前」の報道ではなく、それを前提にして、どうしたら自民党大勝を阻止できるのか、野党はどう共闘すればいいのか、野党の党首を誰にすれば安倍に対抗できるのかを提言することではないのか。

   国民の多くが熱狂した小泉純一郎元総理が残したのは非正規労働者を増大させた超格差社会だった。安倍総理が辞めた後に残すものは、憲法改悪と軍事大国化、それに年金制度を含む社会保障制度の完全崩壊だとしたら、その時、臍を噛み血の涙を流すのは国民である。そのことを片時も忘れてはいけない。

アベノミクス「1億総活躍」も「GDP600兆円」も吹っ飛びそうなアメリカ経済「奈落」

   安倍政権は新聞が書いているように盤石ではない。彼が胸を張ってきた経済政策が破綻してきているからだ。欧州や中国の経済不安にくわえて、アメリカがついに利上げに踏み切った。<米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、2008年12月から7年間にわたって続けてきた事実上のゼロ金利政策を解除し、9年半ぶりに利上げに踏み切ることを決定した。政策金利の誘導目標を0・25%引き上げる。世界を巻き込んだ金融危機の震源地となった米国が、日欧に先駆けて異例の金融緩和策から脱却し、金融政策の正常化に乗り出す」(毎日新聞12月17日付より)

   週刊現代でノーベル賞経済学賞受賞者でニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授は、アメリカ経済がまもなく崩壊するとこのように警告している。<「利上げ早期容認論者の人々が『アメリカ経済は回復したので、利上げをしても大丈夫』と主張しているわけです。

   しかし、アメリカの好調さは、相対的によく見えているにすぎません。あくまで沈む各国に比べて相対的に、なのだという点をおさえておかなければいけません。

   早期の利上げを主張する人たちは、雇用の統計が改善していると言いますが、現実はまだ完全雇用にはなっていないし、賃金もフラットのままです。こういう状況で利上げを急げば、雇用が悪化し、消費は落ち込み、せっかく良くなってきた経済が再び冷え込んでしまう。もし利上げを急げば、アメリカでは日本が2000年代に経験したのと同様の悲劇に襲われることになります。

   ご存知の通り、日本では00年8月にゼロ金利解除という利上げを行いました。小幅な利上げでしたが、結果として日本経済に大打撃を与える大失態となりました。FRBの人たちはいまこそ、この日本の教訓から学ぶべきなのです。

   もしFRBが利上げを急げば、アメリカは長い低迷に突入していくことになるでしょう。そうして経済を痛めてしまえば、次にこの間違いを取り返すための術は見つけられなくなる。日本が2000年代に経験したように、です。(中略)2016年は、世界中がもがき苦しむ年になりそうです」>

   クルーグマン氏のこの予測が当たれば、日本経済は吹っ飛ぶに違いない。

需要ありそうなアマゾン「お坊さん便」!葬儀・法事に派遣2万5000円、戒名はプラス2万円

   『週刊ポスト』はインターネット通販の大手、アマゾンが本や家電、食品以外に、お坊さんを手配するサービスを始めたと報じている。名称は「お坊さん便」。四十九日や一周忌といった法事(法要)の際に、読経を行う僧侶の手配をしてくれるサービスだ。

   料金は自宅など手配先への訪問のみなら2万5000円。自宅から墓地など手配先からの移動を含む場合は4万5000円。プラス2万円で戒名を授与するプランもあり、全国どこにでも手配が可能だという。

   このようなサービスは09年に流通大手の「イオン」が始めているそうだ。お布施の目安を公開して人気を呼び、明朗会計を謳う仲介業者に対するニーズが拡大しているそうである。今回のアマゾンの「お坊さん便」を運営するのは「みんれび」という会社である。現在は浄土真宗、曹洞宗、真言宗などの宗派約400人のお坊さんを手配可能だという。

   最近は1時間配送を始めたアマゾンだが、「お坊さん便」は事前打ち合わせなどが必要になるため、最短で2週間前からの購入となるそうだ。初回は宗派の指定はできるが、僧侶の指名はできない。2回目の利用から僧侶の個人名で注文できるという。

   何度も使うものではないとは思うが、意外に需要があるのではないか。

ここまで来たかアメリカ銃野放し社会!専門通販放送局が24時間いつでもお届けします

   通販といえば、『ニューズウィーク日本版』に驚く記事がある。来年1月20日(2016年)から、カリフォルニア州で全米初の銃器専門通販の放送局「ガンTV」が立ち上げられ、銃や銃弾、付属品の販売をオンラインで行うというのである。

   12月初めにこの州のサンバーナディーノの障がい者支援施設で銃の乱射事件が起きたばかりだし、ここは全米で最も厳しい銃規制法があるのにだ。銃暴力防止団体のローラ・クティレッタ上席弁護士は「銃の犠牲になる人は年間3万人。その多くは自宅で銃を見つけた子供たちだ。(銃は=筆者注)夜中の3時にテレビを見ながら、ふと思い立って買うものではない」と、この通販を批判している。だが「恐ろしい事件が起きると銃を捨てるのではなく、銃を買いたくなる」(ニューズウィーク日本版)のがアメリカ人なのだ。

   銃を買うときには身元審査が行われるが、1日の処理が最高だったのは12年に26人が銃の犠牲になったサンディーフック小学校事件の翌日の17万7170件だったが、パリのテロ事件が起きた後の先月27日(2015年11月)には、その記録を塗り替える18万5345件の身元照合があったという。

   テロを企てようとしている犯罪歴のない人間も、ネットで簡単に銃を手に入れることができるのだ。こんな国に私は住みたいとは思わない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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