2018年 12月 12日 (水)

<青春落語グラフィティ「赤めだか」>(TBS系)
遊び心楽しかった「立川談春自伝ドラマ」たけしの談志、円楽の先代円楽・・・さすが芸達者の二宮和也

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   談志門下・立川談春の自伝的小説のドラマ化である。談春を二宮和也、師匠の談志をビートたけしが演じた。兄弟子・志の輔を香川照之、弟弟子・志らくを濱田岳、さらに談春と親しいさだまさしが寿司屋の大将、イヤミな評論家をリリー・フランキーが演じるなどキャスティングの妙がたっぷり。

キャスティング、バック曲にも粋な仕掛け

   立川談春はチケットの取れない人気落語家だが、ドラマ「下町ロケット」では経理部長・殿村役を好演、俳優としても存在感を示している。どちらかというと恰幅のいい談春をニノが演じると聞いて、イメージが違い過ぎると思ったが、そんな些末なことは気にならないほどドラマの出来はよかった。

   原作では、競艇選手になりたかったが高身長のため断念して談志の弟子になるという内容だったが、ニノの身長では辻褄が合わなくなるので、そのエピソードをバッサリ削り、談志に弟子入り志願しに行く17歳のシーンから始まる。32歳のニノがちゃんと17歳に見えるから凄い。これも一種の才能かもしれない。

   談志役のたけしも滑舌が悪く何を言ってるかわからない場面もあったが、見ているうちに気にならなくなり引き込まれた。いま談志を演じられるのはたけししかいないだろう。弟子たちに無理難題を押し付け、理不尽なことも強いるが、深い愛情を持って弟子の成長を見守る温かい談志の表裏をうまく演じていたように思う。

   談かん(のちのダンカン)が叱られるのを覚悟で談志の弟子を辞めて、ビートたけしのところに行きたいと言いにいくと、1本のウィスキーに自分の名刺を貼り付け、「これを持って行ったら、たけしも断らないだろう」という場面を、当のたけしが演じるなど遊び心満載である。ダンカンも宅配便業者の役でチラッと出ていた。

   先代の中村勘九郎を息子が演じたり、先代の三遊亭円楽を6代目が演じていたり、「流星の絆」でニノの父親を演じていた寺島進がまた父親役だったり。はたまた、年末に相方が逮捕されたキングオブコメディの今野浩喜、「あさが来た」の大番頭はん役山内圭哉が借金取りを演じるなど、隅々にまで見逃せないキャスティングがいい。談々(北村有起哉)、関西(宮川大輔)、ダンボール(新井浩文)と兄弟子たちも個性派ぞろいだった。

ドラマのTBS復活!ぜひ続編を・・・

   ひとつ気になったのは、リリー演じる評論家を席がないと追い返すエピソードで、そっくりな話を笑福亭鶴瓶が師匠・松鶴のいい話として何度もしていたのを聞いたことがある。果たしてこれはどちらのエピソードなのか。それとも、落語家にはよくある話なのだろうか。

   談春が入門した時代を部屋に飾っている薬師丸ひろ子のポスターで表現していた。その薬師丸が語りをつとめるセンスもいい。スティービー・ワンダーからRCサクセション、ビートたけしの曲まで、バックに流れる音楽が微妙にシンクロしていてハマっているところもいい。

   1点ケチをつけるとしたら、ナビゲーターの笑福亭鶴瓶。なんでも、この本を読んだ鶴瓶が、ニノに談春役をやってくれと直談判したことからドラマ化が実現したらしい。それならたしかに鶴瓶は功労者だが、ナビゲーターなどとして出てくるのではなく、陰に隠れていて「実は鶴瓶が」と言われたほうがはるかに粋なのに。

   視聴率は10.7%と思ったより低い。年末のなにかと忙しい時期の放送だったから仕方がないといえば仕方がないが・・・。こんなにいいドラマなのにもったいない。3月にはDVDが発売されるそうだが、それよりも連ドラ化、もしくは後半部分も是非ドラマ化してもらいたい。

   脚本は「半沢直樹」の八津弘幸、演出は「ミエリーノ柏木」のタカハタ秀太、プロデューサーには「半沢直樹」「下町ロケット」の伊與田英徳ともうひとり渡瀬暁彦。渡瀬は俳優渡瀬恒彦の息子だ。テレビ局に入り込んだ2世にもまっとうな才能がいるんだと感心した。昨年の「天皇の料理番」「下町ロケット」で弾みをつけ、2016年、いよいよドラマのTBS復活か。(2015年12月28日よる9時)

くろうさぎ

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