2018年 7月 19日 (木)

<女性作家ミステリー 美しき三つの嘘>(フジテレビ系)
永作博美「DV夫殺しの妻」秀逸!終わらない暴力に感情喪失・自己崩壊のリアル・・・返り血浴びた顏アップ怖い

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   正月早々、暗いものを見てしまった。湊かなえ、三浦しをん、角田光代の作品を原作とする3話オムニバスである。ミステリーだから、犯罪が起きたり人が死んだりするのは当たり前かもしれないが、第1話の冒頭から、返り血を浴びた永作博美の顔のアップが怖かった。

   DVの夫(滝藤賢一)を殴り殺して逮捕された妻役の永作は秀逸だった。やつれはて、終始涙目でおどおどした様子は、暴力に支配されて何も考えられなくなったDV被害者の姿をリアルに表しているようだ。拘置所内のシーンが多く、化粧っ気もないジャージ姿で通す。滝藤賢一も何をするかわからない狂気を感じさせる持ち味が、DV夫にぴったりだ。

女が描いた「女の友情」「女の嘘」

   3話とも基本は女同士の友達関係の話である。男が描くと、「女の友情」はきれいすぎたり、逆に醜さ一本やりだったり、どうも観念的だなと思うものが多いが、これらにはそういう違和感がない。

   「美しい嘘」というからには相手のためを思っての嘘がテーマなのかと思ったら、どうもそうではないらしい。そこがよくわからなくて、実は録画を2回も見てしまった。結局、「視聴者をだましますよ」ということかもしれない。とくに第1話は、中学時代は正義感が強く凛々しかった少女と、人前で教科書も読めないほどだった少女が、DV被害者の殺人犯と弁護士として再会する話で、実は大人になったら役回りが逆転していたというところが「驚愕の展開」(番組ホームページより)なのである。

   第2話でも高校生・立木(村上虹郎)が焼身自殺するシーンが衝撃的だった。生徒たちが思い思いに行き来する校庭を、青いジャージに赤いポリタンクを持った立木がテニスコートに入ってゆく。部活の飲み水かコートに水でも撒くのかなと思っていると、跪(ひざまづ)いて頭から中身をかぶった。すぐにポケットからライターを出し、袖に火を点ける。火が点いた一瞬後に顔、そして全身が火に包まれる。火に気がついて生徒たちが注目した面前で、その火柱がどうと前に倒れた。

   彼の自殺の原因を亜理沙(土屋太鳳)と初音(門脇麦)の二人が探ってゆくのだが、すっかり「ひとくせ女優」が定着した感がある門脇のふてぶてしさが印象的だ。土屋と門脇は一つ前のNHK朝ドラ「まれ」で共演した組み合わせである。

蛇足だった刑事・三浦友和で3話こじつけ

   第3話は人が死ぬシーンは出てこないが、高校時代に親友同士だった紀美子(鈴木京香)と春花(寺島しのぶ)、二人の大物女優のやりとりがスリリング。

   3つの話はいずれもすっきりした終わり方はしない。だが、モヤモヤに浸る暇もなく、次のシーンは唐突に次の話となる。間にCMもない。これはちょっと斬新なやり方だ。だが三つの話をつなぐ2本の糸のように雷と刑事(三浦友和)が出てきて、最後に刑事の身の上話で1本に撚り合わせる必要はあったのだろうか。(1月4日よる9時)

文   カモノ・ハシ
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