『週刊文春』直撃受けた少年A「命がけで来てんだろうな、お前」執拗に記者追い回し!異常性再び?

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   週刊誌にこれほど注目が集まるのは久しぶりだ。年明けから連続してスクープを放ち続ける『週刊文春』の力によるところ大であるが、今週は「元少年Aを直撃」が巻頭特集だ。元少年A(33)は1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件の加害者で、当時14歳。この事件で少年法が大幅改正されるなど、社会に与えた衝撃は大きかった。

   Aは約7年間医療少年院で治療を受け、2004年に仮退院して翌年に本退院が認可され、社会復帰している。Aが再び注目を浴びたのは、昨年(2016年)6月に手記「絶歌」(太田出版)を出版したことだった。反響は大きく、発行部数は25万部に達しているという。だが、手記に対する批判も大きかった。出版が被害者の遺族の了解をとっていなかったことや、贖罪意識に疑問を感じさせる記述が反発を呼び、当時小学6年生だった土師淳くんを殺された父親は「淳はこれによって二度殺されたようなもの」だと不快感を露わにした。

   週刊文春は手記が出された頃からAを追い続け、モノクログラビアではAが自宅を出てバス停へ走る姿や、電車内で携帯電話を見入っている姿を掲載している。目隠しは入っているが、顔の輪郭から着ている服、スニーカーがはっきり写っている。実名は書いていない。週刊文春はAを取材し続けた理由をこう書いている。

   <医療少年院を退院したとはいえ、彼は出版物を自ら世に問い、ベストセラーの著者となった人物である。彼の著書に影響を受ける『信者』も少なくない。

    もちろん素顔や現在の名前をさらす記事が許されるべきではないが、一方で純粋な私人であるとは、とても言えないのではないか。そう考えた取材班は、昨年六月の「絶歌」刊行から半年以上、彼の取材を続けてきた>

   そして1月26日、東京都内でAを直撃している。週刊文春の取材に対して「何のことか分からない」「違います。まったく別人」だと否定し続けるA。改めてインタビューをさせてもらえないかと、記者がその旨を書いた手紙と名刺を渡そうとすると、Aの口調が一変し、記者ににじり寄りこういい放ったという。「命がけで来てんだろ、なあ。命がけで来てんだよな、お前。そうだろ!」

   身の危険を感じた記者が走り出すと、興奮したAは記者を全力で追いかけてきた。この直撃の数日後にAは東京を離れたという。

   週刊文春によれば、98年以降は少年犯罪の再犯者率が上昇していて、2015年上半期は37%と過去最高だそうである。また、土師淳くんの父親のいうように、「重大な非行に対しては現行の少年法は甘すぎる」という批判も頷ける。だが、と、これを読みながら考え込んでしまう。匿名という隠れ蓑に隠れ、被害者に対して心から反省しているとは思えない手記を書いて金儲けをする中年男への怒りは私にもある。そうした社会の怒りを背景に週刊文春がAを追いかけ回し、写真を公表することが、Aの再犯を抑止することになるのだろうか。かえって彼を追い詰め、自暴自棄にして再び犯罪を起こさせてしまわないだろうか。

「少年A]脳機能の異変が精神の発達に影響をおよぼす広汎性発達障害の可能性

   私も関わった「元少年Aの殺意は消えたのか」(イースト・プレス刊)の著者・草薙厚子氏は、Aは社会的不適合を起こしやすい広汎性発達障害ではないかと推測している。広汎性発達障害は「生得的な脳機能の異変が精神の発達に影響をおよぼした結果、幼少期から成長を通じて日常生活上のハンディキャップを生じている状態」(京都大学医学部の十一元三教授)だそうである。

   もしAがそうだとしたらという前提だが、草薙氏は「再犯防止の意味でも、いまとなってはいちばん重要である家族が中心となり、連携して支援システムを構築することが必要なのではないだろうか。そして遺族に手記の出版に対する謝罪と、今後一生をかけて償っていく具体的な内容を早急に示すべきである」としている。

   ジャ-ナリズムの役割は、ここにこんな危険なヤツがいると鉦や太鼓で囃し立てることではないはずだ。その人間が2度と過ちを犯さないために何ができるのかを提示するのも、大切だと思う。たしか、少年Aの母親の手記「『少年A』この子を生んで」は文藝春秋で出したはずだ。Aと両親とを会わせる努力を週刊文春はしたのだろうか。

『週刊新潮』送られてきたある死刑囚の手紙「オレンジ共済事件の政治ブローカー殺して埋めた」

   『週刊新潮』が60周年を迎えた。初めての出版社系週刊誌として世に出て、新聞社系週刊誌全盛時代を終焉させたパイオニアである。その週刊新潮が「永田町の黒幕を埋めた『死刑囚』の告白」を掲載している。死刑囚から届いた1通の手紙という書き出しを見て、あの大誤報を思い出した。朝日新聞阪神支局を襲った真犯人のスクープ手記と大々的に謳ったが、結局、真っ赤なウソだとわかって、大きな批判を受けた。今度は大丈夫なのだろうか。そう思いながら読み進めた。

   手紙の主は東京拘置所在監の暴力団組長、矢野治死刑囚(67)である。死刑判決をうけた事件は、03年に発生した暴力団同士の抗争だ。矢野の指示を受けた組員がスナックで飲んでいた相手方のナンバー2を射殺するために銃を乱射し、一般人まで殺してしまったため、共謀共同正犯で逮捕され、極刑をいい渡されたのである。

   その矢野が斎藤衛氏殺害を告白したというのだ。彼が「オレンジ共済事件」で国会で証人喚問されたとき、私も週刊誌の編集長だったのでよく覚えている。この事件は、国会議員を目指していた友部達夫が、92年に「オレンジ共済組合」を設立、高配当を謳った金融商品を売り出した。100億円近い資金を集めたが友部の私的流用に消え、配当は続かず組合は倒産、彼は詐欺容疑で逮捕された。

   だが、その間の95年、彼は参議院選に新進党から出馬して当選している。その際、比例名簿順位を上げてもらおうと政治ブローカーを使い、工作資金約5億円が新進党に流れたといわれる。そのブローカーが斎藤氏であった。

   斎藤氏は暴力団の企業舎弟で、その頃に矢野と知り合ったという。このオレンジ共済事件は未解決となり、斎藤氏は政界の「黒幕」といわれたが、その後に姿を消してしまったのだ。

   家族から捜索願が出されたが杳として行方が知れず、手がかりもなかった。矢野死刑囚がいうには、斎藤との間で金銭トラブルがあり、それがこじれて殺したというのだ。死体を始末した人間の名前まで書いているが、以前のことで懲りているのであろう週刊新潮は、<矢野の証言は極めて具体的だった。もっとも,彼の告白目的が、新たな事件の立件化による死刑執行の先送りにあるのも間違いないだろう。毎日新聞の記事(斎藤氏が行方不明になっているというもの=筆者注)や、業界の話で斎藤の失踪を知り,架空の殺人事件をでっち上げている可能性も完全には否定できまい>と、『慎重』なのである。同様の手紙は警視庁目白警察署にも送られていて、白署の刑事が東京拘置所で矢野の事情聴取を行ったが、その後は警察は動いていないという。そこで、週刊新潮は死体遺棄役とされた矢野の組の元構成員を探し出すのである。このあたりは週刊新潮の取材力に脱帽である。そして固い口をこじ開け、その人間から全容を聞き出すことに成功するのである。

   この辺りは良質のミステリーを読むが如くである。だが、死体は一つではなく二つ出ると矢野はいっていたという。二つ目の死体とは何か。次号をお楽しみである。なぜ警察は動かなかったのか。95年以降の殺人事件には時効が廃止されたから、死体遺棄役が死体の埋まっている場所に案内すれば、逮捕されることはないのか。いくつかの疑問はあるが、なかなか読み応えのある記事である。

テレビ局はなぜ高市総務相の恫喝に反論しないのか!「電波停止」は法律曲解はなはだしい

   自民党議員の暴言が止まらない。一番ひどいのが『週刊ポスト』が書いている高市早苗発言である。2月8日(2016年)の衆院予算委員会で、放送の政治的公平を定めた放送法4条について、奥野総一郎・民主党代議士がこう質問した。「これを恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、番組のキャスターをはずしたりということが起こりうる。放送法4条の違反には、放送法174条(業務停止)や電波法76条(電波停止)を適用しないことを明言してほしい」

   すると高市早苗総務相は、「国論を二分する政治課題で一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」などと具体的な例を挙げた上で、「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」

   電波法では「電波停止」の権限は総務大臣にある。高市氏の答弁は「政府が要請しても放送局が番組内容改めないときは電波停止もありうる」というテレビ局への「恫喝」であると受け止めるのは当然だし、それに反対の声をテレビ局側が挙げないのはおかしいと、週刊ポストは難じるのだが、当然である。この発言は法の趣旨を完全に履き違えている。

   他にもひどいのがいっぱいいるが、極めつけは自民党の丸山和也参院議員の「オバマ米大統領を黒人の血を引く奴隷」発言である。こんな人間が議員バッジを付けているかと思うと情けない。即刻議員バッジを外すべきである。非常識な輩の首を取れないなら、野党の存在理由などない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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