2024年 4月 26日 (金)

勉強しなくても卒業!生徒かき集めて「就学支援金」不正受給!ウィッツ青山学園の学校詐欺

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   規制緩和をきっかけに誕生した株式会社が経営する高校が、就学支援金を不正に受け取った疑いで東京地検特捜部の捜査を受けている。三重県伊賀市のウィッツ青山学園は、製造業などを手がける東京の会社が平成17年に設立した高校で、全日制の定員は60人。しかし、立地の悪さなどから生徒が集まらず、定員割れが続いている。経営赤字を埋め合わせるため、通信制の生徒を急速に増やして昨年度は1200人が在籍していることになっている。

年収250万円以下世帯の生徒1人当たり30万円補填

   平成26年、国が高校の授業料を負担する就学支援金制度がはじまった。年収250万円未満の家庭の生徒には、年間30万円が学校側に授業料として支払われる。昨年度、ウィッツ青山学園に支払われた就学支援金は1億5000万円余りだ。

   この制度がはじまって以降、学園は全国的45か所に展開するサポート校と呼ばれる支部などを通じて、なりふりかまわぬ生徒勧誘をはじめた。勉強しなくても無料で簡単に卒業できるとうたったり、東京校のマニュアルでは「必ず卒業できると言い切る」よう指示していた。生徒の紹介者に1人5万円の謝礼を支払う、高校を卒業した人を入学させるなんてことも行われていた。

   「私は1回(高校を)卒業しているので入る理由はないが、『問題ない』といわれました。大学と同じように、高校も何度でも入れるということで」とウィッツ青山学園通信制の元生徒は話している。高校を卒業した人は就学支援金の対象外だが、学園はこうした生徒の支援金を申請していたわけだ。

   こうして多数の通信制生徒を集め、国からの支援金を受給する一方、教育内容はずさんで、生徒に教材すら送っていない例もあった。「(学校側から教材は)まったく来てないですね。まったく(勉強を)やんなくても、卒業できると言われました」と通信制の生徒は話す。

学校経営会社社長すっとぼけ「まったく関与していない。まったく知らなかった」

   学校運営の内情を知るという人物は「『学校、来なくていいです。100%卒業保証します』なんて、ビジネス以外の何物でもないですよ。そこに教育、教えるということはまったく介在しない」「教育の『きょ』の字もない。国の税金を食い物にしている」と語る。

   取材を担当した内山拓磨記者は「まともな教育が行われないまま、就学支援金が不正に支払われる事態はあってはならないことです。(広域通信制高校に対する)徹底した調査が求められます」という。

   ウィッツ青山学園の親会社に当たる東理ホールディングスの福村康廣社長は、「会社としてはまったく関与していない。高卒でも(入学して)いいとかという営業は、われわれもまったく知らなかった」「いちばん楽に卒業できるというのを売りにしたとすれば、教育現場としてあるべき姿ではない」とまるで他人事のように語った。

*NHKクローズアップ現代(2016年2月16日放送「狙われた就学支援金~『教育特区』で何が~」)

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