マイナス金利で金庫が売れる!?銀行に預けるよりタンス預金

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   16日(2016年2月)から異例の「マイナス金利」がスタートした。日銀が金融機関から預かっている当座預金の一部の金利が、0・1%からマイナス0・1%になった。金を預けた方が利息を払う。金融機関は預けるより貸し出しに振り向けるだろうと、それが狙いだ。だが、市場も金融機関も大混乱し、副作用も懸念されている。

   黒田東彦・日銀総裁は「賛成多数で決定」と言ったが、金融政策決定会合の賛否は5対4だった。反対の理由は効果の割に副作用が大きいという懸念、金融機関と預金者の混乱・不安だ。現に混乱は始まっている。

ローン金利低下でマイホーム購入チャンス?不動産バブルで価格高騰

   長期金利がマイナス0.005%と初めてマイナスになった。連動して住宅ローンの金利も下がるだろうと、不動産業界は期待をかける。マイホームセミナーは「マイナス金利」のメリットを説いて盛況だが、肝心の銀行がまだドタバタだ。

   中小企業向け融資が多い「西武信金」は日銀に預けた900億円のうち300億円を引き出した。金利を下げれば借り手はあると踏んでいるが、これから貸出先の掘り起こしにかかる。どれだけ需要があるかは未知数だ。

   新生銀行は預金金利をこれまでの0・3~0・35%から0・06~0・1%に引き下げた。当然、収益は悪化する。そこで預金以外の金融商品(投資信託など)の提案ができるかどうかと知恵をしぼる。

   保険会社も深刻な状況だ。契約者から集めた保険料を国債で運用してるが、国債の利回りは過去最低になった。株安と低金利は世界的だから逃げようがない。運用益が減れば、保険料率の引き上げも考えなければならない。「保険会社の使命を果たせなくなる可能性も懸念される」(日本生命)

   3年前に「異次元」金融緩和を打ち出してから、日銀は年間80兆円のペースで国債を買い入れ、金融機関に金を供給し続けた。経済活性化で「物価上昇2%」「デフレ脱却」が目標だったが、去年10~12月期はGDPの伸びも住宅投資もマイナスだった。物価上昇は実質ゼロ。

   「マイナス金利」導入は「サプライズが必要との判断から」とUSB証券の中窪文男氏はいう。「住宅投資は金利が下がれば回復するが、銀行の収益が下がると企業への貸し出しは伸びない。消費者へは少しマイナスに働くが、大きな影響はない」と見る。

欧州では100万円1年間預けて預金者が1250円支払い

   一足先に「マイナス金利」を導入した欧州の国々が、効果と副作用の両方を見せていた。4年前にマイナス0・65%にしたデンマークの首都コペンハーゲンは、ビルの建設ラッシュだった。80平方メートル、6000~7000万円の住宅が売れ筋という。住宅ローンにマイナス0・32%というのも現れた。ローンを組むと利息が入るのだ。賃貸より買った方が安いことになり、マンション価格が45%も上昇してニューヨーク並みになり、ついに普通の人は買えなくなった。絵に描いたような不動産バブルだ。

   昨年、マイナス0・75%を導入したスイスは、銀行収益の悪化で預金者にしわ寄せが来ていた。預金者3万人のABS銀行は預金金利をマイナス0・125%にした。100万円を1年預けると1250円払わないといけない。銀行は「収益が悪化して、1年分の利益の相当するくらいの負担になり、やむをえなかった。口座を閉じた人、他行へ移った人もいた」という。

   そこで、いま売れているのがタンス預金用の金庫だ。高額紙幣も増刷中というから、まるで漫画だ。それでも経済全体では景気刺激効果は出ていると中窪氏はいう。

   さて日本ではどうか。中窪氏は「銀行のマイナス金利はない」という。銀行は昨年、最高益を更新して体力がある。また、日銀に預けているのはほんの一部なのだと。ただし、不動産バブルには警戒が必要だと指摘する。

   そもそも経済政策に100%の正解なんてありえない。だから、政治家も経済官僚も、たとえ間違えても責任も取らずにのほほんとしていられる。日本国民はお上に甘いからなおさらだ。

*NHKクローズアップ現代(2016年2月18日放送「異例のマイナス金利~経済・暮らしはどうなる~」)

ヤンヤン

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