2024年 4月 19日 (金)

安倍首相あわてさせた「保育園落ちた日本死ね!!!」政権揺さぶる広がり!放っておくとヤバイ

   「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログへの書き込みがツイッターなどのSNSで爆発的に拡散し、ついに安倍首相を動かした。週刊文春でジャーナリストの猪熊弘子氏が、これを書いた母親にメールでインタビューしている。仮にA子さんとしておく。都内在住の30代前半の女性で夫と子どもの三人暮らしだ。

   正社員の事務員として働いているが、現在は育休中だという。4月から復職しようと思い、互いの両親は遠方に住んでいるため保育園に預けようとしたが、すべて落ちてしまった。

<「保育園に落ちると、自治体から入園について『不承諾』っていう通知が来るんです。あの通知は本当に落ち込みますよ。『不承諾よ、滅びろ』って思う。国が言うとおり、私は働きたいのに、保育園落ちて仕事を辞めなきゃいけないのは、本当に納得がいかないです」(A子さん)>

   2015年4月現在の全国の待機児童数は前年に比べて1796人増えて2万3167人になった。<「『一億総活躍』という目標を国が掲げるならば、きちんとそうなるように仕組みを整える義務があると思うんですよ」(同)>

   このブログについて聞かれた安倍首相は、「実際に起こっているのか確認しようがない。これ以上、議論しようがない」と素っ気なく答えたが、A子さんのいうように、誰が書いているかではなく、何をいっているかを議論すべきだったはずである。

   保育園の問題には、働く保育士がいないという難問もある。理由はいたってシンプル。給料が安すぎるのだ。<一般労働者の賃金が月平均で約三十万円、保育士は約二十一万円と大きく下回っている。(中略)保育士には腰や肩、腕を痛めている人も少なくない。それも『職業病』と言われるほど、身体に負担が大きい仕事なのだ>(猪熊氏)

   自民党もこれはマズいと思ったのだろう、自民党内や公明党からも安倍首相の対応に批判の声が上がり始めた。このままいくと第一次安倍内閣の時の「消えた年金問題」の二の舞になりかねない。<安倍首相は10日、政府与党連絡会議で「地域によってはなかなか(保育所に)入れない実態がある。早急に対策に取り組みたい」と表明。自民、公明両党は作業チームを立ち上げる>(3月11日のasahi.com)

   言葉遣いはやや乱暴だが、一人の主婦の悲鳴のようなブログが安倍首相をあわてさせ、動かした。だが、この問題は選挙目当てのリップサービスで解決するほど生易しいものではない。安倍首相の本気度が試される。遅遅として進まなければ、今度は「保育園落ちた安倍死ね」と書かれるだろう。

関西電力・高浜原発ストップ決定!大津地裁の勇気、最高裁も見習え

   きょうで東日本大震災から5年になるが、被災地の復興も福島第一原発の処理も道半ばだ。大津地裁は3月9日(2016年)に関西電力・高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分を決定した。しかし、安倍首相は「関西電力にはさらに安全性の説明を尽くすことを期待したい。政府もそのように指導していく」と述べて、再稼働を進める方針に変わりがない姿勢を見せている。

   上級審に行けばこの判決は覆るという思惑があるのであろう。日本の最高裁判所は「原発、基地問題など『統治と支配』の根幹に触れるような事柄についてはアンタッチャブル。司法による立法、行政の適切な監視など行われておらず、裁判所や裁判官は憲法の番人ではなく権力の番人、忠犬と堕している」(元裁判官の瀬木比呂志氏)

   ヒラメのように上の顔色ばかり窺う裁判官が多い中で、このような勇気ある判決を出した地裁の裁判官の「正義」を最高裁も引き継ぐべきだと考える。

新国立競技場「聖火台忘れた!」あの森喜朗元首相が呆れた馳浩文科相の能天気

   新国立競技場にまたケチがついた。現計画では聖火台を置く空間が想定されていないというのだ。聖火台はオリンピックの象徴である。そんな馬鹿なと思うが、あの悪名高き森喜朗元首相までが「JSC(日本スポーツ振興センター)という少し頭のおかしな連中が、聖火台を忘れて設計図を作った。一番悪いのは馳浩です」と批判する始末。

   馳浩文部科学相も週刊新潮に対して、<「JSCがザハ案のときのまま、場内に聖火台を設置しなくてよいのだと思い込み、計画を進めてしまったところに問題があった」>と認め困惑しているのだ。

   これを設計した隈研吾氏は「屋根は鉄と木のハイブリッド構造なので、聖火台の上部に鉄を用いることでも、木に不燃処理を施すことでも対応可能です」>と説明しているが、聖火台を別に作ることで建設費はさらに増えることになるはずだ。誰が責任をとるのか明確ではない組織では、また何か起こるのは間違いない。いっそのこと東京五輪を返上したらどうか。

日本相撲協会外部理事・宗像紀夫元特捜副部長も怒った「八角親方の大相撲私物化」

   週刊新潮が追及している相撲協会理事長選を巡る八角理事長と貴乃花親方の確執だが、今度は相撲協会外部理事で元東京地検特捜部副部長の宗像紀夫氏が、八角理事長に「相撲協会の私物化を止めろ」と苦言を呈した。

   理事長選挙は春場所後の3月28日。貴乃花と八角の一騎打ちのようだが、ここへきて外部理事に「八角に投票しないと殺すぞ」という殺害予告電話が右翼を名乗る人間からかかってきたという問題も浮上しているというのだから、事態は深刻だ。

<「私はこれまで4年間、相撲協会を見てきましたが、八角さんが理事長になってからの協会運営の乱暴さは目に余るものがある。八角さんは、未だに相撲界の古いしきたりの中での考えのままなのです。しかし、公益性を持った、開かれた協会においてそれは通用しない」(宗像氏)>

   八角理事長には厳しい風が吹き始めたようだ。

「食べログ」不透明過ぎる評価!だれが採点してるの?口コミ1件なのに高得点

   週刊ポストは特集に見るべきものは少ないが、小ネタにいいものがある。そんな記事を3本紹介しよう。シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ったというのは、いまの日本経済を象徴する『事件』である。有利子負債約7500億円(15年9月末時点)を抱え、1000億円を超す最終赤字を計上(15年4~12月期決算)したシャープは、鴻海との交渉が破談になれば融資の借り換えも不可能となり、たちまち経営破綻の危機に陥るそうだ。

   鴻海の創業は74年。当初は白黒テレビの部品生産を手掛け、90年代末から電子機器等の組み立てを請け負う事業に参入したという。それ以降は急成長遂げ、グループ売上高14兆8000億円(15年12月期)、従業員数約100万人(連結推計値)の「帝国」を一代で築き上げたのが郭台銘会長で、現代の「チンギス・ハーン」と呼ばれているそうである。

   今回の買収交渉を取材し続けてきたジャーナリストが郭氏についてこう語る。<「郭氏は『超ワンマン』です。契約条件にある経営陣留任、従業員の雇用維持は、リップサービスにすぎません。

   現経営陣が居座れるのも今年6月の株主総会まででしょう。出資後66%の株式を取得するのと引き換えに、シャープの取締役13人のうち9人が鴻海側から送り込まれることになっています。以降は鴻海主導で何事も決まっていくわけで、大規模なリストラもあり得る。40歳以上は言うに及ばず、40歳以下の社員も安泰ではない」

   ジャーナリストの北沢栄氏はこう話している。「鴻海が手に入れたいのはシャープの液晶技術力です。中でも従来製品より消費電力が少なく、折り曲げることもできる有機ELディスプレイは、これからのタブレットやスマートフォンに標準搭載されていくことが確実視されています。

   現に鴻海が受託製造を受けているアップルは18年に予定していたiPhoneへの有機ELディスプレイの搭載予定を17年の秋に早める動きを見せている。アップルから同生産を一手に請け負うためにはシャープの技術力が不可欠なのです」

   これほどの技術を台湾に持っていかれるのは、私のような者でももったいないと思う。かつての技術のシャープを支えた優秀な技術者の多くは、すでにパナソニックやサムスンなどに移っているそうだ。もはや取り返しがつかない。

   次は、数多く存在するグルメサイトの中で圧倒的な知名度と人気を誇る日本最大の口コミサイト「食べログ」についての記事。「食べログ」は売り上げは右肩上がりで、2015年4~12月期は前年同期比から27%増の115億円を記録したという。

   私もここをよく使うが、不思議なのは評価が3・2と出ているのに、口コミが1件しかなかったりすることである。どう評価点を出しているのか。広報担当者はこう解説している。<「実は、食べログの評価点は単純な平均点ではありません。私たちは『食通度合い』と表現しているのですが、投稿いただくレビュアー(レビューを書き込む人)様ごとに点数に及ぼす影響度を数字化させていただいています。そうした独自の数字を使った計算方法で、点数が公正な評価になるよう工夫しているわけです」>

   わかったようなわからない説明で、ますます不透明感が膨らむが、要は信頼のおける人かどうかを食べログ側が評価しているということのようだ。<「1日に約3000件の投稿がありますが、全ての口コミを専任スタッフが確認しています。当社独自の規約やガイドラインを用意しているので、条件を満たしていないレビューや表現に問題のあるものは修正依頼を出すなどの対策を講じている」(先の広報担当者)>

   影響力のあるレビュアーになるにはどうするのか。1654店の書き込みをおこなっている食べログの有名レビュアーのうどんが主食氏がこう語る。<「具体的な基準は明かされていないので分かりませんが、感覚的には100軒以上のレビューを書かないと影響力は大きくならないように思います」>

   こうした口コミサイトは行ってみなければわからないことも多い。私も何度か失敗しているが、この書き方なら信用してもいいかなということがだんだんわかってくる。いちばん簡単なのは、自分が知っている店がどう評価されているかを見ておくことである。こうした口コミサイトは参考までに見ておくという程度にしておいて、紙での評価のほうを私は信じる。

村中が認知症のオランダ「ホグウェイ」レストラン、スーパー、美容院、映画館もあって従業員はみな介護スタッフ

   次の記事がいちばんおもしろかった。週刊ポストによれば全員が認知症の村があるそうだ。オランダの首都・アムステルダムから車で20分ほど走った田園地帯にその村はある。3~4メートルほどの高い塀にぐるりと囲まれているこの村は、オランダ企業のヴィヴィウム・ケアグループが運営する介護施設「ホグウェイ」という。その広報担当者がこう説明する。

   <「ここは09年に開設された介護施設ですが、入居できるのは認知症患者だけで、現在152人が暮らしています。

   他にはない特徴の一つとして約1万2000平方メートル(甲子園球場のグラウンド面積とほぼ同じ)の敷地がひとつの『街』のように機能していることが挙げられます。

   カフェやスーパーマーケット、映画館など、入居者がくつろげる環境を整えています」>

   患者を病院や施設に閉じ込めるのではなく、極力それまで通りのライフスタイルを送らせてあげることが、どんな治療にも代えがたいケアになるというのである。敷地内には約250人のスタッフが配されている。英国紙「ガーディアン」が「認知症患者のためのテーマパーク」と報じたそうだ。

   日本の認知症患者は予備軍も合わせて800万人と推計されていると週刊ポストは書いている。そこまではどうかと思うが、厚生労働省によると2025年には700万人、65歳以上の5人に1人が認知症になるといっている。今や認知症の治療はアメリカでは医療費の最多になっており、日本もすぐに追いつくことは間違いない。このような施設は日本でも研究する必要があるはずだ。

   「ホグウェイ」では認知症の高齢者が違和感なく日常生活を送れるように、カフェやレストラン、スーパーマーケット、美容院、映画館なども併設されている。普通に見えるスーパーの店員も美容師もみんな施設スタッフ。買い物は事前に渡されているカードで決済。利用額の上限が決まっているので、買いすぎて混乱することはないようだ。

   だが、入居費用は月額6000ユーロ(約62万円)と相当高い。それに食費などは別途自己負担になる。よほどのセレブでないと入れはしない。<「認知症患者がそれまでと同じように生活できる環境を設けているのは、彼らをリスペクトしているからです。そうした取り組みがメディアで取り上げられれば、認知症患者にスポットが当たり、人々が考えるきっかけになります。その意味でもこの施設が存在する意味は大きいと考えています」(広報担当者)>

   下流老人には夢のまた夢だが、どうせ認知症になれば周りのことは気にならなくなるのだから、どこでもいいからこんな施設の廉価版をつくってほしいものである。それも早めに。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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