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シリアISに性奴隷にされる少女たち...9人の男に『転売』され連日レイプ

   シリアの内戦が始まって5年。国連は女性たちが受けている性暴力に危機感を強めている。「クローズアップ現代」は被害の実態がほとんど明らかになっていなかった性暴力について、2人の少女から体験を聞いた。取材が行われたのはドイツ南西部バーデン・ヒュルテンベルク州にある医療施設だ。

恐怖のあまりガソリン被って全身やけどの18歳

   半年前に避難してきたシリンさん(19)は過激派組織「IS=イスラミックステート」に拘束され、8か月間も暴行され続けた。今も家族が捕らわれているため身元を明かすことはできないが、「拘束されている女性たちの力になりたい」としてインタビューに応じた。

   「私は何回も奴隷として売られました。子供だったのにレイプされました。普通に暮らしていたら知らなくてもよいことをたくさん経験してしまいました」という。イラク北部の小さな町で家族と暮らし、高校に通っていたシリンさんは、勉強が好きで将来は弁護士を目指していた。2014年8月、ISが町を占領して成人男性のほとんどが殺害され、女性は誘拐された。17歳だったシリンさんは奴隷として8か月の間に9人の男に次々と売られ、売春宿で働かされたこともあった。

   18歳の時には妊娠していることに気付いた。「流産しようとコンクリートブロックを3つ、わざと持ち上げました。激痛が走り、出血し、流産したのです。その後も奴隷として競りにかけられました。ISは私からすべてを奪いました。家族、そして私の誇りと純潔を」

   シリンさんはISを抜けようとしていた男性の協力を得て、ようやく逃げ出すことができた。

   マドリンさん(18)は評判の聡明な少女だったが、15歳でISに拉致されレイプされた。そして、「再び襲われるのではないか」という恐怖からガソリンを被って火をつけた。今も全身の80%に火傷を負った状態で入院している。「火傷を負えばレイプからは逃げられるという必死の思いからだったんです」

   マドリンさんの顔は焼けただれ、まるでフェイスパックをしているかのようだ。耳たぶは焼け落ち、耳は穴だけが空いている。「私たちは誰も傷つけたことなどないのに、どうしてこんな恐ろしい目にあわなければいけないのでしょうか」

女性は「戦利品」値段表もあって戦闘員への褒美

   ISはおととし10月(2014年)、「奴隷制の復活」を宣言した。女性たちを「戦利品」とみなして「奴隷」として扱うことを認め、戦闘員に褒美として与えることで士気を高め、さらに身代金を得ることで活動資金を集めることも謳っていた。

   他国でもナイジェリアでは過激派組織「ボコ・ハラム」によって200人以上の女子学生が拉致されているし、南スーダンでは反政府勢力と戦うことの報酬として、政府軍が兵士に女性への暴力を許していることが発覚している。

   国谷裕子キャスター「女性が結婚させられるため、何度も男性に売られることは本当に起きているなのでしょうか」

   国連事務総長特別代表で、紛争時における性暴力が担当のザイナブ・ハワ・バングーラさんはこう説明した。「ISは組織的に奴隷売買をしています。値段表があって、若ければ若いほど、男性経験がないほど高い値段がつきます。信じられないことですが、この21世紀に女性を奴隷市場に連れていくということが起きているのです」

   国谷「シリアでは空爆が続いています。こうしたなかで彼女たちを救い出す方法はあるのでしょうか」

   バングーラさん「ISが支配している地域の人すべてがISを支持しているわけではありません。こうしたネットワークを使えば、少女たちを助け出すことも不可能ではありません」

ビレッジマン

*NHKクローズアップ現代(2016年3月14日放送「女性たちの『戦争』~知られざる性暴力の実態~」