普通に暮らし密かにテロを準備せよ!アルカイダ元幹部に呼応する世界の若者たち...ネットで爆弾製造法も指南

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   アメリカの9・11同時多発テロ以降、国際社会が取り組んできた「テロとの戦い」をあざ笑うように、テロ発生、犠牲者は増加の一途をたどっている。2008年には発生4000件、犠牲者1万人を超え、6年後の14年には4倍の1万7000件、3万5000人を超えた。増加の背景に何があるのか。

過激派サイトにハマり、銃乱射14人殺害した仲のいい夫婦

   昨年(2015年)12月3日、アメリカ・カリフォルニア州の田舎町サンバーナディーで起きた銃乱射事件は、武装した2人組が職場で同僚ら14人を撃ち殺し、犯人の2人も警察との銃撃戦の末に射殺された。2人は夫婦で、役所職員だった夫のサィード・ファルークは地元の大学を卒業し、公務員として安定した収入を得ていた、半年前には娘が誕生したばかりだ。朝と夕に欠かさず礼拝所を訪れる敬虔なイスラム教信徒で、地元では仲の良い夫婦とみられていた。礼拝所の責任者だったムスタファ・クユ前所長は「非常に敬虔で温和な彼がなぜ事件を起こしたのかまったく分からない」と困惑している。

   ところが、クローズアップ現代が入手した捜査資料に疑問を解くカギがあった。2人に武器を供与して起訴された友人の供述内容によると、11年ごろファルークがネットで繰り返し見ていたサイトがあった。アラビア半島のアルカイダが発行する機関誌「インスパイア」の電子版で、そこには爆弾製造法が克明に記されていたほか、アルカイダの元幹部で新たな過激思想とテロ戦術を提唱するアブ・ムサブ・アル・スーリーが大々的に特集されていたという。ファルークの銃乱射とスーリーが教唆しているテロの手口は一致していた。。

   スーリーは1958年にシリアのアレッポで生まれた。80年代にアフガニスタンでソ連との戦闘に参加。元アルカイダ司令官、ビン・ラーデンと一時行動を共にしていたが、現在は行方は分かっていない。

一般市民を巻き込んで、欧米社会をパニックに追い込め

   スーリーが注目されたのは、04年に発表さした16000ページにわたる著書からだ。組織的、計画的に行っていたテロではなく、少人数で自発的に起こす個別テロを提唱していた。「9・11以降、アメリカの専制政治に対抗する方法は個人によるテロしかない。日常生活をしながら秘密裏に攻撃すべきだ。数を積み重ねることで個別テロが現象にまで高まる」

   3年前にイスラム過激派のISに拘束されたことがあるフランスのラジオ局のディディエ・フランソワ記者は、IS幹部たちが話していたことをこう証言する。「スーリーの思想について話し合っていた。若者たちにスーリーの思想を広め、あちこちでテロを実行させようというのです。欧米社会をパニックに陥れることを目論んでいた」

   スーリーをよく知る元過激派幹部もこんな話をする。「罪もない市民を殺害したカリフォルニアの事件は、スーリーの影響を受けた者が実行したテロとすぐ分かった。世界はスーリーの思想に従うだろう」

   こうした個別テロをどう防げばよいのか。イスラム政治思想に詳しい東京大学の池内恵准教授は次のように答えた。「インターネットの普及で政府の(イスラム思想の)解釈を押し付けるのが難しくなっている。もう一つは、中東のアラブ世界では政府が国民をコントロールするのが難しくなっているんですね。インターネットは思想を拡散するうえではパワフルなんです」

モンブラン

*NHKクローズアップ現代(2016年3月16日放送「テロ『拡散』時代 世界はどう向き合うか」)

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