「日本脚本家連盟」読むのが恐ろしい会報コラム!プロがプロ向けに業界辛酸体験告白

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   月に1度送られてくる、世にも恐ろしいコラムが載った会報誌がある。日本脚本家連盟の組合員向けの「脚本家ニュース」だ。この連盟は放送・映画・舞台の脚本を執筆する脚本家や放送作家の生活を守り、経済的地位の向上をはかる目的で設立された。歴史は古く、今年で創立50年を迎える。送られてくるニュースの紙面9割を占めるのは、脚本の権利や使用許諾がどうなっているのかを伝えるものだ。アニメ映画の放送を動画配信するためにどこそこに使用許諾が下りたといったことがビッシリ書かれている。

目も通さず捨てられる企画書・台本

   誌面の最後にある小さなコラムは、脚本家が己の職業人生についてを執筆している。有名なドラマを手掛けた人やアニメの脚本を中心に書いている方、ヒット作の昼ドラを何本も手掛けた方など、名前を知っている人から知らない人まで、さまざまな現場で働く脚本家・放送作家が書いている。

   恐ろしいのは、このコラムの読者が全員プロの物書きだということである。同業者相手に書くなんて胃が痛くてたまらないだろう。なぜこの仕事を始めたのかなどのエピソードを中心に書かれているのだが、多くは苦労話だ。立場の弱いフリーランスがどうやって生き延びていくか、個人の記録であり後輩たちへの指南が書かれている。

   たとえば、持って行った企画書や台本を読みもせずにゴミ箱に捨てられた新人時代の悔しい思い。台本や企画書を何度書き直してもOKが出ない。そのうち、同じような内容のものが他局で放送される。原作者と脚本家は意見が一致しているが、プロデューサーが首を縦に振らず企画が流れてしまう。ディレクターと意見衝突して作業から手を引いたら、自分の脚本を勝手に脚色され放送されていた。

放送されたのにギャラ払ってくれない!

   企画がとん挫してギャラが支払われない。放送されても支払いがない。ギャラ交渉をしたとたん仕事がなくなるなどなど、諸先輩がどれだけ悔しい思いをしてきたのかがわかる。トラブルの多くは脚本料や権利問題だ。

   連盟では作家の自己申請で何の番組を担当したのかを事細かに記入し、再放送があった場合には権利料が支払われるようになっている。ギャラの値上げ交渉も連盟側からアクセスしてくれる。何かあった場合には相談の窓口になってくれるなど、組合員を守ってくれる存在なのです。

   ただ、先輩たちが書き連ねる辛酸の日々は現在もあまり変わっていない。雇い主になるプロデューサーのイエスマンにならないと仕事がなくなるのではないかとビクビク。一気にクビとはならなくても、登用回数は減らされたりするのは当たり前である。

   多くは契約書を交わさないので、いつクビになってもこちらは文句も言えない。人間関係を潤滑にすることばかりに執着する人が増えてもおかしくはない。そんな状況をぐっと堪えて、嫌がらせのようなことも見返してやるという勢いで仕事をしていかなければならない。

   諸先輩も同じ道を通ったのだと思うと、踏ん張るしかないと思う新年度の始まりだ。

モジョっこ

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