東京・大阪で鳴かず飛ばずの芸人「地方と海外目指せ」吉本興業お笑いのIターン移住と輸出戦略

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   「吉本なしではテレビ番組は作れない」とまで言われる吉本興業が新たな取り組みを始めている。まず目をつけたのが「地方」だ。吉本はいま47都道府県に芸人を移住させ、東京に頼らない新たなお笑いビジネスを模索している。名付けて「住みます芸人」は全国に103人になる。地元のテレビやラジオ局に食い込み、187のレギュラー番組に持っているほか、全国600の自治体で町興しの事業に協力している。いってみれば、お笑い芸人のIターンだ。

   東京や大阪では鳴かず飛ばずだった芸人も地方でチャンスをつかんでいるのだ。狙いは何だったのか。吉本興業のトップ・大﨑洋社長はこう語る。「日本の高度経済成長ともに放送局さんの広告事業収入が上がって、そこに出入りして下請けしていた吉本も右肩上がりで来ました。これからもそれでいければこんな楽なことはないんですが、その分、組織、タレント、社員のノウハウが偏ってしまう。テレビだけに頼っているとバランスが悪くなるんじゃないかなと思って始めたんです」

47都道府県ごとに「住みます芸人」

   長く吉本興業の取材を続けてきたノンフィクションライターの西岡研介氏は地方化をこう見る。「住みます芸人というのは、東日本大震災の前の年に大﨑社長がテレビのニュースで若者の雇用が伸びないというのと地方経済が疲弊しているというのを見て、『自分らは何も貢献できてないな。何かお笑いの企業としてできることはないかな』ということで考えたものだそうです。『そうや、東京や大阪に売れてない芸人、いっぱいおるやないか。その子らに47都道府県にいっぺん住んでもらおうか。芸人をマネジメントする社員を47都道府県から一人ずつ合計47人を雇って、小さいけれども雇用を生み出そうやないか』ということろから始まったそうです」

   井上あさひキャスター「かなり投資もしていると思うのですが」

   西岡氏「いや、芸人さんは住まわすだけですし、社員さんは契約社員。当初は2億円ぐらいの人件費を見込んでいたそうですが、吉本興業さんが思っていたよりも地方自治体の反応が良くて、単年度黒字になっていると聞いています」

タイに送り込まれたぼんちきよし大受け「文化ギャップに戸惑う日本人キャラ」

   目は「海外」にも向けられている。去年(2015年)、吉本興業はアジアの6つの地域に拡大するとブチ上げた。選ばれたのは一発逆転を狙う16人。現地で自力で人気者になってもらおうという作戦だ。

   言葉も文化も違う国で本当に笑いが取れるのか。タイに送り込まれたぼんちきよしは各地を自転車で回りながらネタを探し、片言のタイ語も話せるようになってタイ人のモノマネを考えた。そのネタをタイの国民的コメディアン、日本でいえば明石家さんまクラスのウドム・テーパーニットさんに見てもらったところ、こんなアドバイスを受けた。

「あなたは日本人としてタイで笑いを取ろうとしてるんでしょ。だったら、タイ人のモノマネよりも、日本人が感じるギャップを面白がってほしい」

   井上キャスター「ぼんちさんはウドムさんのアドバイスを生かして、タイ人に突っ込む日本人というキャラで受けているそうです。経済成長も頭打ち、人々も内向きになって、イノベーションも生まれにくいというのが日本の現状だと思いますが、吉本の取り組みからどのようなヒントを見出せばいいですか」

   ゲストの平田オリザさん(劇作家)は「人口減少社会の解決策は2つしかないと思います。海外に新しいビジネスチャンスを見つける。もう一つは国内のまだある豊かな資源を、その中で小さく回していく。パイは増えませんが、あるものをちゃんと回していく。僕はこれを『ソフトの地産地消』と呼んでいます。これはあまり大きな投資が要らないので、そこは吉本の精神と合致したのだと思います」

ビレッジマン

NHKクローズアップ現代+(2016年月日放送「オモロいこと はじめまっせ~『笑いの総合商社』の新展開~」)
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