借金バブルに踊る中国庶民!たった10秒でカネ貸すネット金融・・・返済できず大学生自殺

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   中国はいま大変な借金ブームだという。インターネットを使って個人投資家から集めた金で、個人や中小企業に融資する金融会社が次々に生まれ、その借りやすさから利用者が急拡大しているのだ。借金バブルが景気減速から抜け出る起爆剤になると期待される一方で、悪徳金融会社による詐欺事件や借金漬けになった大学生が自殺する事件も起きている。

   IT企業で働く26歳の女性は、身の周り品や服飾品のすべてを借金で購入した。取り出したスマートフォンの専用アプリを開きボタンを押すと、10秒もかからずに2万円の金が7%の利息を差し引かれて口座に振り込まれた。「親の世代は節約してお金を貯めていますが、私には理解できないわ。自分に投資しなければ質素な暮らししかできませんよ。おかげで今は欲しいものはすぐ買えるようになりました」

   ネット金融会社は現在4000社、累積取引高30兆円にのぼるという。

株価低迷・低金利で素人が出資

   これまで中国では大企業や国家プロジェクトへ融資する国有銀行が中心で、個人や中小企業向けの金融機関はほとんどなかった。個人や中小企業は、資金が必要となると親戚や地域の有力者に頼るしかなかった。こうした状況を変えたのがネット金融だった。景気減速で従来の輸出主導型から消費主導による内需拡大への転換が進められるなかで、ネット金融は急成長していった。

   その仕組みはこうだ。株価低迷や預金の低金利で行き場所がなくなったカネを投資してもらい、ネット金融会社は集まった資金をネットで個人や中小企業に貸し出す。見ず知らずの個人の返済能力をネット上でどのように判断をするのか。ネット金融会社「網商銀行」の趙衛星副頭取は、「ネット通販などで蓄積されたビッグデータで将来の収入や支出状況が予測できる。ビッグデータを活用することで利用者のリスク管理ができるのです」という。

   ネット金融会社に投資する一般投資家に不安はないのか、納得する利回りを確保できているのか。北京に住む男性は平均11%という高い利回りに魅せられ投資を始めた。現在170万円をネット金融会社に投資している。「友人の間でもこの投資は人気です。私にとっては非常に大事な投資手段。資産の半分をネット金融への投資に回す予定です」と話す。

   鎌倉千秋キャスター「急拡大しているのも借り手側が多いからでしょうが、なぜネット金融なのでしょうか」

   大和総研の矢作大祐研究員はこう解説する。「一つは格差拡大。都市部を中心に贅沢品が増えてきていますが、その割には給料が上がらず、どうにかして手に入れたいという人は多いんです。中国人の面子が後押ししている」

各地で詐欺や夜逃げ・・・4割が悪徳業者

   市中にカネがあふれているため、マンションへの投資が増え価格が高騰している。広東省深?(セン)では昨年3000万円だったマンションが2倍に跳ね上がっている。こうした動きに経済評論家は「値上がりがとても急で危険な状態です。必ず大幅に下落するときがやってきて実体経済もダメになる」と警告している。

   ネット金融に絡む詐欺や夜逃げ、債務不履行も各地で多発している。昨年(2015年)12月には過去最悪と言われるネット金融会社の詐欺事件が摘発された。国営テレビにCMを流し90万人から資金を集めた。ところが、集めた資金は自分たちの遊興費などに使ってしまい、被害総額は9000億円にのぼる。ネット金融会社の4割はこうした詐欺などの悪徳業者と言われている。

   今年3月には、ネット金融で借金を重ねた大学生が自殺に追い込まれたというニュースが国営テレビで流れた。河南省鄭州の大学に通っていた男子大学生で、10%を超える高い利息の支払いができず、支払いのためにネット金融で借金を繰り返して最終的な借入残高は1000万円に膨らんでいた。

   NHK国際部の小宮智可デスクは「2年前に取り締まりを強化したところ、ブレーキを掛け過ぎたため消費が冷え込んでしまいました。しかし、アクセルを踏めば不動産バブルが生まれる。政府としては苦慮しているところのようです」

   わずか10秒で借り入れができるネット金融を13億人の一部でも利用し、消費に向かえば内需拡大による景気浮揚はするかもしれない。しかし、その影の部分が大きいのも中国だ。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2016年6月1日放送「膨らむ13億人の『欲望』~中国ネット金融の光と影~」)

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