もっと利用しよう「24時間訪問介護」1日に何度もヘルパーがやってきて細かくケア・・・費用安く家族の負担軽減

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   親などの介護が原因で仕事を辞めざるを得ない離職介護者が年間10万人に達した。予備軍は42万人もいる。そこで注目されているのが4年前に導入された24時間訪問介護のサービスだ。こまめに介護士が訪問してケアしてくれて、料金も安い。おかげで介護離職せずに済んだケースも増えている。専門家も高齢化がピークとなる2025年に向け「中心になるサービス」と太鼓判を押す。

朝昼晩3時間ごとに排せつや食事の世話

   広島市の自動車工場で働く石川良二さんは最も重い要介護度5で寝たきりの母親セキさん(86)と住んでいる。「仕事に出かけると、お袋ひとりになるが、今は安心できる」と話す。それを可能にしたのは24時間訪問介護だ。

   正式には「定期巡回・随時対応型訪問介護」という。石川良二さんが毎朝6時半に仕事に出掛けると、直後の7時にいつも通り自宅にヘルパーがやってきた。さっそくセキさんの顔をタオルで洗い、排せつの確認をし、朝食のケア、服薬などテキパキこなし1回目30分のケアを終える。

   3時間後の午前10時に別のヘルパーが訪れ、水分補給や床ずれ防止のために体位変換、排せつチェックを手早く行った。この間15分ほど。さらに正午には3人目のヘルパーが訪れ昼食の準備と食事介護を行って帰った。

   午後6時過ぎ良二さんが仕事から帰ってきた。良二さんが一息ついて間もなく、この日の最後の6回目のヘルパーが訪れセキさんに歯磨きなどのケアを行い1日が終了した。

   セキさん「やっぱり家の方が良い。楽です。気を使わなくていい」

   良二さんも「こんな介護があるのか、ここまで見てもらえるのかと、ほんまにすごいです。楽しく介護させてもらっています」と感謝する。

   以前、セキさんは有料老人ホームに入所していた。月額27万円と負担が重く退所した。安い施設を探したが、待機者が多く入所まで半年以上かかると言われ途方に暮れた。離職すればその日の生活に困る八方ふさがりの中でみつけたのが、24時間訪問介護だった。

4年前から導入されながら全国の利用者まだ1万3500人

   三菱UFJリサーチ&コンサルティングの岩名礼介・上席主任研究員によると、従来型の訪問介護は、週に数回、1日1回の介護で1時間程度だった。24時間訪問介護は、訪問回数は無制限ではないが、利用者の生活のリズムに合わせ必要な時間に訪問する。さらに、夜間の緊急時に駆けつけたり、電話相談に対応できる体制も整えられているのが特徴という。

   料金は利用回数に関係なく定額制で、要介護度5のセキさんの場合は自己負担1割で、最も高いランクの料金で月額2万7450円だ。

   ところが、なぜか利用が広がっていない。利用者数は全国で1万3500人ほどだ。事業者数も少なく、全国市町村の8割近くがこの制度を導入していない。岩名研究員がこんな解説をする。「知られていないのが大きな原因です。自治体はサービスにはどういう効果があるのか、利用するとどんな生活が実現できるのか、積極的に発信して欲しいのです。一定のエリアの中でたくさん利用者がいれば、効率的なサービスの提供ができます」

   制度を進化させ成果を上げている事業所も出てきている。奈良県大和郡山市で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人は、4年前から24時間訪問介護を事業の柱に据え、要介護者の自立を促す狙いで訪問するスタッフに介護福祉士だけでなく理学療法士や医療の専門家、管理栄養士、言語聴覚士などを加えた。

   この結果、介護だけにとどまらない効果が上がってきている。夜間は自分で排せつできる要介護者が増え、早朝や夜間のスタッフ訪問がなくなった。要介護度が改善した人は101人中17人にのぼり、施設への待機者も激減しているという。

   岩名研究員「介護の最大のポイントは重度化させないことです。大和郡山市の施設は、自立するにはどうすればよいかを軸に取り組んでおり大変望ましい。2025年に向けて中心になるサービスと思っている」と強調した。

NHKクローズアップ現代+(2016年7月6日放送「介護離職、こうして切り抜けました~これは使える!24時間訪問介護~」
文   モンブラン
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