売れない藤沢周平と寄り添う家族・・・芸達者と巧みな脚本で見事に描いた昭和庶民の佇まい
<ふつうが一番~作家・藤沢周平 父の一言~>(TBS系)

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   佳作である。直木賞作家で時代劇の達人、藤沢周平の娘・展子が書いたエッセイを元に、再婚から直木賞受賞までを描くほのぼのとした家族愛の物語だ。藤沢の本名は小菅留治というダサい名前なので、美男子の東山紀之が演じて少々違和感があったが、母親・たきゑになるズーズー弁の草笛光子が達者でよかったし、脇の人物、業界紙社長の角野卓造やダメ男の親戚・佐藤B作らが素晴らしい。

   前妻を病気で亡くし悲嘆にくれながら、一人娘を幼稚園に迎えに行き、老いた母親と3人で生活するしがない業界紙の記者・留治(東山紀之)は、知り合いの和子(松たか子)と再婚する。和子の父には猛反対され、展子は小学校の高学年で、はや反抗期が来て家出され、心の休まる時がない。和子も1日たったの500円という低予算をたきゑに渡されて苦労の連続だが、生さぬ仲でも家族の絆は固い。

   貧乏でも、家族が寄り添いながら必死で生きていた昭和40年代の、日本の庶民の佇まいが巧みに描けていて(脚本・黒土三男、演出・清弘誠)、一瞬も弛緩しなかった。妻の和子になる松たか子は、古き良き時代の日本に生息していた糟糠の妻を演じるが、老けたなあ。

   それにしても、今や時代劇では彼なくして夜も日もあけぬ超売れっ子の藤沢周平が、直木賞で3回も落選したとは知らなかった。文藝文春の商策上手とはいえ、他にも文学賞は数多あるのに、芥川・直木両賞だけ国民的イベントになって、いささか憮然とする。(放送2016年7月4日21時~)

(黄蘭)

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