2024年 4月 18日 (木)

「ソーシャル・インパクト」投資してみる?貧困対策、子ども教育事業に出資して利益・・・企業や銀行が目を付けてなかった分野

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   利益を追求しながら社会にも役立つ。そんな投資「ソーシャル・インパクト(社会的貢献投資)」が注目を集めている。アメリカの投資会社「カルバート・インベストメンツ」はボルチモアの貧困地域を再生する事業を展開している。地元NPOと共同で閉鎖された工場を買い取り、ホームレスの住居施設、貧しい家庭の子供たちの教育スペース、働く場所を与えるためのカフェなどを作ってみた。もちろん当初は利益は出ないが、計画が順調に進むことでホームレスから家賃収入が入り、治安が回復することでオフィスへの入居希望が増えてテナント料も入る。カフェの売り上げも増加して、オンボロ工場が投資家に利益を還元するようになっているという。

   伊東敏恵キャスターが整理する。「投資というと、これまでは投資家や年金基金がファンドや証券会社を通して株や債券で利回りを得たわけです。一方、貧困に苦しむ人の支援とか、子どもの教育などはこれまでNPOとか行政が担ってきた、言わば慈善事業だったわけですが、資金が足りてないというケースがほとんどでした。そこに目を付けたのが『ソーシャル・インパクト』なのです」

リスクはないのか?将来期待される社会コスト減をリターン

   日本でもソーシャル・インパクトはできるのか。実はパイロット事業的な形ではすでに始まっている。米国などのソーシャル・インパクトは投資家とNPOなどの間を投資ファンドなどがつないでいるが、日本では両者を行政がつないでいる。たとえば、生活保護世帯への就労支援を投資家からの資金で行うことで、将来的に減るであろう社会的コストを投資家にリターンするものだ。

   官民の共同事業というと、かつては「第3セクター」、最近では「PFI(民間資金等活用事業)」などがあるが、ソーシャル・インパクトは事業者ではなく、一般投資家から資金を集める点でこれらとも違うらしい。

   伊東キャスター「視聴者からもたくさん質問が来てまして、『ホント? だったら素晴らしい』『投資で社会貢献なんて可能なのか』という声もあります。どう見たらいいんでしょうか」

   投資家として企業再建に携わる京都大学の瀧本哲史・客員准教授はこう説明する。「選挙っていうのは多数派が勝つんですが、投資の世界では少数派が勝つことが多いんです。みんながやりだすと誰も儲からなくなる。そういう意味では、いままでみんなが目を向けてなかった分野にNPOを介して管理するとか不動産投資という形に変えることによって、今はいい投資になってるんじゃないかなと思います」

   リスクはないのか。日本公共政策研究所の小林立明さんはこう言う。「たしかにリスクっていうのはいろんな仕掛けがないとコントロールできないものですが、一方でこれまで民間の金融機関が全然マーケットとして捉えていなかった貧困層であるとか、社会的に排除された層に対して、寄付や補助金ではなくビジネスの力を使って投資をする、これが新しい流れだと思います」

ビレッジマン

   *NHKクローズアップ現代+(2016年7月11日「ついに来た!?『マネー』新潮流~ソーシャル・インパクトの衝撃~」)

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