カネの切れ目が命の切れ目!?超高額がん治療薬の保険適用に異論・・・このままでは医療費で日本パンク

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   1回133万円もする画期的な肺がん治療薬「オプジーボ」の保険適用をめぐって、医師、国、患者の間で激しい論争になっている。昨年夏(2015年)、保険適用が認められ多くの患者が少ない自己負担で使えるようになったが、このままでは国の保険財政が持たないというのだ。

   オプジーボは小野薬品工業が22年かけて研究開発した「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる肺がん治療薬で、がんを除去したり縮小させる手術、放射線治療、抗がん剤とは異なり、患者自身の免疫力に働きかける第4の治療法として期待されている。

   問題は価格で、体重60キログラムの患者に月2回の点滴で投与すると、1か月にかかる費用は266万円、1年間で3500万円にもなる。しかし、保険の適用が認められたおかげで、70歳を超える患者なら自己負担は1割、さらに高額医療制度で自己負担分の上限が決まっているため、実際に支払う費用は月1万2000円で、残りは国が負担する。

   日赤医療センターの国頭英夫医師が財務省の財政制度等審議会でこう主張し、一石を投じた。国頭医師は対象になる肺がん患者の半分(5万人)が1年間オプジーボを使うと、1兆7500億円のコスト増になるという。「国民皆保険がダメになるというレベルを超えて、国の財政が破たんするんじゃないか」と指摘する。

月額1900万円の新薬も登場

 

   オプジーボのほかにも、月額1900万円もかかる治療薬「ミファムルチド」など、超高価な新薬がやがてどんどん日本に入ってくるとみられている。バイオ技術の発達などで、こうした高価な新薬は続々と登場すると考えられており、国頭医師は「保険の適用に何らかの制限を設ける必要があります。75歳を過ぎたら後は寿命。100歳の患者を年間3500万円かけて101歳にするのか。高額かけて寿命を延ばすような治療は保険の適用から外したほうがいい」と強調する。

   日本人の平均寿命(2014年)は男80.50歳、女86.83歳という中で、「75歳過ぎたら寿命と思え」は少し乱暴だが、国の医療費は2020年度46兆9000万円、2025年度54兆円に跳ね上がっていくと試算されている。

   鎌倉千秋キャスターが「このままでは医療財政は破綻するという警鐘に大きな論争が起きていますが、どう思われますか」と、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長に尋ねる。「私は27歳の時に血液のがんにかかり、命を救われた立場です。2人に1人ががんに罹患する現状ですから、カネの切れ目が命の切れ目になりかねない状況にあるといわれると、多くの人にとって切実な問題になります」

   東大大学院の五十嵐中・准教授(薬剤経済が専門)「いまの日本は4人に1人の高齢者が全体の6割弱の医療費を使っているのが現状です。今までは税金や保険料、患者の自己負担を上げて賄ってきましたが、このままではまずいので、薬の使用に優先順位をつけるという考え方が医師のほうから出てきたことは大きいと思っています。薬の使用にメスを入れざるを得ないところに来ていると思います」

NHKクローズアップ現代+(2016年7月13日放送「あなたはどう考えますか~新薬高騰が医療を壊す?~」)
文   モンブラン
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