<そして、誰もいなくなった>(日本テレビ系)
『マイナンバー』乗っ取られたら・・・あなたはもうこの社会にいない人間!番号だけが存在証明の怖さ

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   これは、今年の夏一番のホラーだ。何が怖いかって、実際に生きている人そのものより、その人を表すためのデータ、つまり国から付けられた「パーソナル・ナンバー」という記号が絶対視される事態をあからさまに描いているからだ。データが消えてしまったら、目の前で息をしている人間でさえ「こいつは誰だ、どうして存在しているんだ」ということになってしまう。

   よく考えれば、データを登録して管理するのは人が生活しやすくするためなのだから文字通り本末転倒なのだが、そう言って笑えないから怖いのである。すでにわれわれにはマイナンバーがあるのだ。

ある日突然消されてしまった自分のデータ「存在していない人間殺しても殺人罪にはならない」

   ドラマは、ある日突然、自分のデータが消されてしまった、いや、正確には他の人間に乗っ取られてしまった男の話である。

   冒頭の場面では、主人公の藤堂新一(藤原竜也)がビルの屋上に立たされている。胸には標的を示す赤い小さな点がチラチラし、どこからか不気味な声が「自ら飛び降りて死ぬか撃たれて死ぬか、二択だ」。いきなりハラハラ、ドキドキで始まった。「お前は存在していない。存在していない人間を殺したからと言って殺人罪にはならない」というわけだ。

   で、この後さかのぼって、どうしてこういう羽目になっているかが説明される作りになっている。ことの発端はどうも藤堂が一人で開発した「Miss Erase(erase=消す)」というデータ消去ソフトにあるらしい。藤堂は「リベンジポルノや誹謗記事が拡散して困っている人たちを救える」と思って、指示した人物のデータをすべて消去したり置換したりできるソフトを開発したのだが、何者かがそれを彼に向けて使用したのだ。誰が、何のために?

会社の同僚、友人、恋人や母親も何かあやしい。信用できるのは誰もいない

   ここから彼の戦いが始まる。究明のために動こうにも、まず銀行で金が下ろせない。手持ちの現金でやっと夜行バスに乗り、自分になりすました男が婦女暴行で捕まったという新潟に行き、学生時代の友人たちに会って金を借り......という具合に第1回から悪戦苦闘の展開。会社の同僚も学生時代の友人も行きつけのバーのバーテンも、恋人や母親でさえ何かあやしい。「そして、誰もいなくなった」というタイトルからすると、みんなが敵になるのかしら。まさか、ね。

   友だちに「怖いよ」と言ったら、「それはそのソフトの設計が間違ってるんじゃない? 役所などの公的データは消えないようにしなくちゃね」と言った。あ、そうか。(日曜日よる10時30分~)

(カモノ・ハシ)

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