企業内部留保360兆円だれのもの?株主配当・従業員給与渋って溜め込むばかりの経営・・・村上ファンドが殴り込み

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   国家予算96兆円(平成28年度)の4倍に膨れ上がった全国の主要企業の内部留保をめぐって、国とモノ言う株主VS企業経営者の間で論争が起きている。内部留保とは、当期利益から税金、役員賞与、株主配当など社外に流出する分を差し引いた残りをいう。企業はこれを現金や株式・債券などの金融商品、不動産で蓄えている。現在、企業の内部留保の総額は360兆円にも膨れ上がっているのだ。

   そこで国は「企業が内部留保を取り崩して設備投資や賃金をアップし、経済全体を活性化させるべきではないか」と求めている。麻生太郎財務相は「内部留保して何するんです。企業は金を貯めるのが目的ですか、違うでしょう」と迫る。株主も「内部留保を配当で還元すべきだ」と提案して経営側を攻める。これに対して、経営側は「日本経済の先行きに不安要素がある中で、企業存続のために手元資金は持っておきたい」という。

優良商社「黒田電気」に「余った利益すべて株主に渡せ」

   今月(2016年7月)に開かれた企業経営を学ぶセミナ―に上場企業の役員ら約100人が参加した。講師の牛島信弁護士は「株主の存在が経営の中で重要な役割を果たしつつあることが改めて鮮明になってきている」と指摘した。

   モノ言う株主、村上世彰氏が率いる村上ファンドは昨年(2015年)、上場企業を揺るがす動きに出た。自動車の電子部品を扱う優良商社の黒田電気に「余った利益はすべて株主に渡すべきである」という要求を突き付けたのだ。「黒田電気においては株主の目線に立ったガバナンスが行われておらず、利益還元を軽視している」というものだった。

   村上氏は「日本には過剰な内部留保を持った企業が多くある。株主をリスペクト(重視)しながら、きちんと経営していくことが大事だ。今が一番のチャンスです」という。村上の提案は昨年8月の株式総会に諮られ、最終的には否決された。しかし支持は4割まで拡大したという。

国も企業の社会寄与求める指針「コーポレートガバナンス・コード」

   なぜ株主がにわかに活発化しているのか。背景にあるのは、国と証券取引グループが昨年まとめた上場企業のための指針「コーポレートガバナンス・コード」がある。中長期的に企業の価値を向上させ、経済全体の発展に寄与させようという狙いで作成された。具体的には、国内外から投資しやすい環境を作るため、株主の権利・平等性の確保、適切な情報の開示と透明性の確保、株主との対話を進めるよう示している。お墨付きを得た株主が活発な提案を行っているのだ。

   小郷知子キャスター「コードの理念とは何ですか」

   コード作成にかかわった学習院大の神田秀樹教授はこう説明した。「政府の成長戦略に基づいて作られました。経営者と株主が対話を通じて、中長期的観点で企業が成長する道を探して実行してほしいというのが目的です」

   小郷「さまざまな企業の価値観は、どうやって、誰が決めていくのですか」

   神田「それがポイントとなります。株式会社は経営者と株主が対話する中で決めていく仕組みになっています」

   ここでもう一つ重要なことは従業員への分配だろう。企業が溜め込んだ内部留保は、本体は給与として支払われるべき分も多くあるはずだ。

   *NHKクローズアップ現代+(2016年7月27日放送「360兆円!企業のカネは誰のものか~『内部留保』をめぐる攻防~」)

モンブラン

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