抑えた演技光る尾野真千子に好感!難しいテーマ「特別養子縁組」考えさせる遊川和彦の渾身作
<はじめまして、愛しています。第1回~第5回>

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   今期一番の問題作である。父親の追川真美(藤竜也)が世界的指揮者で、自分も大コンクールで受賞してピアニスト・デビューを飾ろうと努力してきた梅田美奈(尾野真千子)は、35歳になった今も夢は果たせず、街のピアノの先生で鬱屈している。夫の信次(江口洋介)はお人よしのサラリーマン、2人に子供はいない。
   ある日、庭に無言の男の子が立っていて、じっとピアノを聴いていた。実の親に鎖で縛られて放置されていたのを施設に救い出された名無しの5歳児で、信次は運命的なものを感じて施設の職員・堂本真知(余貴美子)に特別養子縁組を申し出る。それからが悪夢のような虐待されてきた男の子(横山歩)との闘争の日々だった。
   脚本の遊川和彦は「家政婦のミタ」や「女王の教室」などで話題を沸騰させた御仁。今回も日本的養子縁組制度を調べ上げてオリジナルストーリーを書き、実の親による児童虐待が絶えない社会の病巣と真正面から向き合った渾身の物語を綴っている。
   第5回でようやくハジメと名付けた男の子と微かな意思の疎通ができ始めたところだ。美奈も指揮者という音楽だけを愛した父との確執、信次もアル中になっている母との確執を抱え、それぞれが家族という、愛だけではすまない難しい関係を考えさせるテーマが存在する。他人の子をわが子とする困難を敢えて選んだ挫折ピアニストを、尾野真千子が抑えた演技でくっきりと造形していて見事である。(放送2016年8月11日21時~)

(黄蘭)

採点:1.5
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