「台風10号」東北・北海道に氾濫・大洪水!町役場も住民も「避難準備情報」意味知らず・・・

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   台風10号は東北・北海道に大きな被害を残した。原因の一つに、1951年に観測を始めてか以来、台風が強い勢力を保ったまま太平洋側から東北地方に直接上陸したことはなく、危機感が希薄だったことがある。入居者9人が死亡したグループホーム「楽ん楽ん」が水没した岩手・岩泉町周辺では、過去に水害が起こったことがなかった。

   女子高生がツイッターで「川が氾濫して孤立すると消防車が回ってる」と書いた30分後には、「冠水する。やばい」と切迫した状態になっていた。家ごと流されながら九死に一生を得た佐々木達也さんは、「マットレスを体に縛り付けた。生きようというのではなく、後で探してもらうためだった。迷惑かけないように」と話す。縛ったヒモでできた腹の傷が痛々しい。

あっという間に天井まで水没!直撃体験少なく危機感なかった

   NHKはNMAPSという降水量、土壌の水分量、河川データなどを可視化する技術を使って、何が起こったかを解析した。雨の降り始めが30日(2016年8月)午後3時。4時から台風の強い雨になったが、午後7時には急に止んでいる。ところが、この時すでに川は溢れ、1時間で2メートルの高さまで水は上がり、家の屋根に迫って、車は水没していた。

   その後さらに上がる。上流の雨量計と下流の水位計を調べてみると、上流の雨のピークから2時間後に下流の水位がピークになっていた。上流の雨は午後6時から7時の1時間に66ミリ、東北では経験のない豪雨が記録されていた。

   河川工学が専門の中央大・山田正教授は「想像できなかったでしょう。鉄砲水に近い」という。山はそれまでの雨で保水力が限界に達していた。豪雨は地面に浸み込めず、地表を流れて川に至ったために水位が急上昇したのだと見る。「雨量150ミリでだいたい飽和に近くなる。どこでも起こりうることです」

   北海道・南富良野町で起こったのもこれだった。1週間に3つの台風が上陸して雨が降り続け、台風10号が追い打ちをかけた。1日に168ミリという、平年の8月1か月分の雨量を超える豪雨だ。空知川の堤防はもたなかった。

「タイムライン防災」襲来予想時間から遡って段階的対策

   岩泉町の伊藤勝身町長は「情報の把握の仕方が間違っていたかもしれない」と悔む。避難準備情報のことだ。町は朝のうちに発令したが、出した方も受けた方も意味をわかっていなかった。この情報は、お年寄りや子ども、障害のある人など、避難に支援が必要な人に早めの避難を呼びかけるもので、グループホームはまさにそれにあたるのだが、誰もそうは思っていなかった。

   南富良野町も同様だった。「強い台風なんて経験がない」「水害なぞ考えもしなかった」という。避難指示が出ても「急ぐことはないや」と多くの人が避難せずに取り残され、ヘリで救出されることになった。

   京都大の矢守克也教授は「これまでになかった、50年も住んで初めて・・・といった災害が増えています。気象庁の発表もそうです。『絶対にない』はないんだと肝に銘じること」という。

   そこで、「タイムライン防災」という考えが広がっている。台風が接近する72時間前、10時間前、2時間前と、時間をさかのぼってそれまでに何をするかを決めておく。自治体だけでなく施設、学校、地域でも導入してほしい。それと、分かりやすい情報伝達の工夫が求められる。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代+(2016年9月1日放送「『常識』が通用しない!?~徹底検証・台風『異変』~」)

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