戦中派ノスタルジー空回り!「戦争の非情・若者の無念」あり得ないエピソードで失敗・・・VFX戦闘場面もチャチ 
<NHKスペシャル ドラマ戦艦武蔵>(NHK総合)

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   作・演出は85歳の岡崎栄。もろ戦中派の思い入れで作られたのがわかるが、成功したとは言い難い。吉村昭の「戦艦武蔵」をテレビにしようとして頓挫し、昨年、海底に眠る武蔵の映像が出て、再度制作することが出来た曰くつきの作品だ。
   戦争ものがよく陥る手法に、現代の若者を登場させて若い視聴者にも見てもらおうとするやり方である。今回では、武蔵の生き残りの祖父・俊之の最後を戦友の木山三男(津川雅彦)に聞くために、祖母・ふみ(渡辺美佐子)と共に四国遍路を追う孫の真中麻有(石原さとみ)が主人公だ。
   遍路宿で木山の話を聞くと、俊之は大怪我をして洞窟に残された時、戦友に「はなのすきなうし」という絵本に出てくる優しい子牛のフェルディナンドの話を聞かせる。生来優しい性格の生き物が戦闘に駆り出される童話によって、国策のために死地で敵と戦わねばならなかった無念と、平和を希求する名もない多くの若者の叶わぬ悲痛を描こうとしたのだろうが、これは失敗もいいとこである。
   手榴弾で玉砕寸前の極限状態に傷ついた兵士が、寓話を語って聞かせるなんて戦場を知らなすぎるし、当時の海軍少尉が戦後の平和願望などを想像することはありえない。武蔵が撃沈された後も、非科学的思考だった日本軍人は、まだ、戦争に勝つつもりでいたのだから。これは、現在から見た当時であって、VFX映像での戦闘場面もチャチ。戦中派・岡崎のノスタルジーは伝わらなかった。残念。(放送2016年9月3日21時~)

(黄蘭)

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