「パラリンピック」戦傷兵士のリハビリ?米軍担当者「回復した姿見せれば負傷兵奮い立つ」そして再び戦場へ

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   連日熱戦が続くリオ・パラリンピックだが、鎌倉千秋キャスターは「みなさんは、パラリンピックの原点が戦争で傷ついた兵士たちの大会だったことをご存じでしょうか」と取り上げた。「1948年、第2次世界大戦の負傷兵のために、イギリスでアーチェリーの大会が開かれたのが原点でした」

   日本では「先天的な障害」や「事故などでの障害」を負った人たちの大会と捉えられがちだが、外国では戦場から帰還した負傷兵も数多く参加していて、「クローズアップ現代+」が取材しただけでも、今回の大会に17か国の兵士が出場していた。

全盲競泳の金メダリスト「アフガンで地雷にやられて失明」

   アメリカのブラッドリー・スナイダー選手(32)は元米海軍の兵士で、2011年にアフガニスタンに派遣され、両目を負傷していっさいの光を失った。「私の任務はタリバンたちが埋めた無数の地雷を探すことでした。その時、私の50センチ前で地雷が爆発し、その瞬間、死を覚悟しました」

   スナイダーさんは3日間生死の淵をさまよった末、一命はとりとめたが、両目を摘出し義眼での生活を余儀なくされた。弟たちにとって自慢の兄だったが、戦場から帰った姿は見る影もなく、家の中で迷子になるなど何もできなくなっていた。

   そんなスナイダーさんにとって一筋の光となったのが、少年時代から続けてきた水泳だった。絶望を振り払うかのように、かつて慣れ親しんだプールに通い続けた。コースロープや隣のレーンの選手にぶつかりながらも練習を続け、4年前のロンドン・パラリンピックで優勝、リオ・パラでも競泳50メートル自由形などで他を圧倒して金メダル輝いた。

負傷兵の補償額削減にパラリンピックは好都合

   番組によると、イラクやアフガンに派遣された米兵は270万人。そのうち97万人、実に3人に1人以上が心身の障害を訴えていて、そうした兵士たちへの補償額は1兆4700億円にもなる。補償額は年々膨らむと予想され、米国やイギリスでは負傷兵の社会復帰を促すため、パラリンピックをはじめとするスポーツに活路を見出そうとしている。

   国民に向けて作られたPRビデオには、そのリハビリ・プログラムも紹介されている。米軍のプログラム担当者は悪びれもせずにこういう。「パラリンピック・プログラムはやる気を引き出す仕組みです。回復した兵士の姿を見せ、他の負傷兵を奮い立たせるのです」

   鎌倉キャスター「スポーツ、パラリンピックが、再び戦場に戻るサイクルに位置づけられているんですね」

   早稲田大学スポーツ学科の友添秀則学術院長は「極めて残念ですね」と語る。「オリンピックやパラリンピックというのは、国際親善や世界平和を最高の理念にしています。しかし、現状はスポーツを利用して、もう1度戦場に戻らせる。皮肉な言い方をすると、人間の業みたいなものを感じます」

   鎌倉キャスター「今後、パラリンピックというものの性質が変わるかもしれない段階で、われわれは東京大会を開くにあたって、どんなメッセージを発信していくべきでしょうか」

   為末大氏(元陸上選手)はこう話す。「昔、ヒトラーがオリンピックを利用したという例もあります。スポーツ自体に善悪があるわけではなく、運用する私たちがどんなメッセージを込めるかということが大切だと思っています」

   平和の祭典というのは幻想なのかもしれない。

ビレッジマン

   *NHKクローズアップ現代+(2016年9月12日放送「『戦場の悪夢』と金メダル~兵士とパラリンピック~」)

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