<NNNドキュメント おしゃべりアパート>(日本テレビ系)
残したかったのは「ひととの交流」ボロ学生寮を建て替え!大学生自身でデザイン・設計

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   40年を超える歴史を持つ金沢工業大学・綿野寮の家賃は月2万円だ。風呂・便所共同で建物は古いけれど日当たり良好である。ちょっとばかりおせっかいな管理人老夫婦付き。はっきり言って時代錯誤だけれど、寮を巣立って行ったOBたちの青春のそのものが今も残る由緒ある学生寮だ。管理人のおばあちゃんは「今の子らはこんなおばさんとしゃべりたくない」と笑う。

   入居希望者が減り、大学生たちに建て替えを依頼するところからドキュメンタリは始まる。建築家志望の学生が学生アパートを手掛けるこの事業は、金沢工業大学の名物授業だという。家主へのヒアリングを始め、設計案を考え、模型作成、プレゼンと厳しい審査を通し、コンペを通った案が実際に施工される。学生だからという甘えは通用しない。関わる学生も真剣だ。

「おばあちゃんちに帰るような気持ちの寮にしたい」

   寮取り壊しの報を受け、卒業してから30年という元寮生がぞくぞく集まる様子を見て、学生たちは「ひととの交流」を残すことが寮の魅力を残すことだと確信する。キッチン共有案、シェアハウス案など、それぞれの知恵を持ち寄り、採用されたのは管理人室を通らないと各人の部屋に行けない動線を確保する案だった。しかし、おばあちゃんは一貫して管理人室を固辞する。熱心に説得にあたったのは、デザインを担当した女子学生と一緒に管理人を務める夫だった。

「おばあちゃんちに帰るような気持ちの寮にしたい」
「家におってもだれもかまってくれんぞ、もうちょっとがんばればいいやないか」

   完成した寮では、管理人室の前を通って自室に向かうことで入居者同士の交流の場を残しながらも、各人の部屋にバス・トイレを完備した。各部屋にはロフトベッドがあり、床はフローリング敷き。家賃は5・5万円と大幅に上がったが、あっという間に全部屋が埋まった。入居当初はぎこちなかった学生たちも、気付けば管理人室や各部屋を行き来する仲になっていく。

撮影2年超!30分番組に手間暇かけた良作ドキュメンタリー

   「学生って、いつもしゃべりたいわけではない、でも『しゃべりたいな』と思ったときに聞いてくれる人がいる」という元寮生の言葉が、なんとも染みる。いつでも誰とでも連絡がとれる時代となった今は、「しゃべりたい」を満たすツールはたくさんある。でも、訳も聞かずにそばにいてくれる人がいる心強さは、LINEでも電話でも満たせない。その温かさはけして時代錯誤なんかじゃない、と確かに思える。

   30分番組のためにかけた撮影期間は2年超。設計デザイン担当の女子学生は卒業・就職し、管理人夫婦も少し老けた。寮の見た目も生まれ変わった。でも、管理人夫婦と学生の場所は続いていく。ちゃんと地続きで毎日は続いていく。丁寧に2年間分の「移ろい」を切り取った良作でした。(2016年9月18日深夜1時30分放送)

ばんぶぅ

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