2024年 4月 25日 (木)

ボブ・ディランがミック・ジャガーに漏らした「僕にはノーベル選考委員が何考えているのかさっぱりわからないよ」

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   ボブ・ディランが「風に吹かれて」を発表し、ピーター・ポール&マリーが歌ったカバーが大ヒットしたのは1963年。ディラン22歳、私が18歳の時だった。どれだけミサイルが飛んだら戦争が終わるのか、いつまでニュースを見れば平和が来るのか、その答えは風が知っているだけさ。アメリカでは公民権運動賛歌として受け入れられ、日本を始め多くの国では反戦ソングとして多くの若者が歌った。

   ディランがノーベル文学書を受賞したことが波紋を呼んでいる。一番当惑しているのは本人かもしれない。週刊文春によれば、10月14日にカリフォルニア州で行われた音楽フェスのリハーサルで、「ローリング・ストーンズ」のミック・ジャガーとキース・リチャードに「おめでとう」と声をかけられたディランは、こういったという。「ありがとう。でも僕には彼ら(選考委員)が何を考えているのかさっぱりわからないよ」

   彼は「変人」といわれる。人ぎらい、インタビューぎらい、コンサート以外は自分を晒さない。だが、2004年に自らの手で自伝を書いたとき、「ニューズウィーク」のインタビューに答えている。今週の「ニューズ日本版」から引用してみよう。<60年代後半から70年代前半には神格化され、ストーカーに近いファンも出現した。「あんなことをされれば、誰でもおかしくなる」と、ディランは自伝に書いている>

   名声は人生だけでなく、作品もゆがめたという。<「私は名声をうまく利用しようと思った。名声はカネにはなったが、独り歩きを始めた。名声の中身は空っぽだった。私の音楽は指の間からこぼれ落ち、いつしか消え去った」「昔の私は、世界と人間のあらゆる真実を歌で表現しようとしていた」と、ディランは言った。「しかし時が来れば、そんなことはできっこないと分かるものだ」>

   同誌でプリンストン大学のショーン・ウィレンツ教授は、ディランの受賞についてこう語っている。<「同時代の偉大な文学者をたたえただけのこと。同じ栄誉に浴したほかの文学者たちと区別する必要はない。詩は大昔からある文学の形式だ。ディランはそれをまったく新しい水準に、西洋文化が生み出した文学の最も高い水準にまで高めた。それ以上の説明はいらない」>

   週刊新潮によると、これまでにノーベル賞を受け取ることを辞退したのはサルトルを含めて4人だという。授賞式にディランが出席するかどうかわからないようだが、いまこそ戦争ができる普通の国にした安倍首相官邸を取り巻き、「風に吹かれて」を歌うときではないだろうか。

「朝日新聞」止まらぬ部数減も当然か!読売新聞・務台会長も覚悟していた「新聞の適正部数は600万部」

   私事で恐縮だが、このほど『知られざる出版「裏面」史~元木昌彦インタヴューズ』(出版人)を上梓した。版元から出版記念会をやって少しでも本を捌いてくれと頼まれた。でも、古希になって記念会というのもなあ、業界向けの地味な本だしなあと結構悩んだ。

   そこで「生前葬」をやろうと思いついた。これまで親しくしてもらってきた知人、友人に「長年のご厚誼を『故人』が感謝する」という趣旨なら、面白がって来てくれるかもしれない。

   当日は、友人のカメラマンに撮ってもらった大きな「遺影」を飾り、横のテーブルに菊の花を20本。講談社の出樋一親さん、きずな出版の櫻井秀勲さん、ノンフィクション作家の佐野眞一さん、版画家の山本容子さんのお祝いの挨拶の後、私が代読するという形で『故人』の遺言状を読み上げた。

   「みなさんと知り合えたこと、一緒に仕事ができたこと、酒を酌み交わしたこと、忘れません。感謝しています。今日は本当にありがとうございました」と結び、頭を下げた。

   150人の参会者でいっぱいの会場から拍手が起こった。「生前葬、よかったよ。また来年もやれよ」と声をかけられた。水の江滝子は74歳で生前葬をやり94歳まで生きた。生前葬をやると長生きできるという「功徳」もあるそうだから、みなさんもやってみてはいかがだろうか。

   週刊ポストが、朝日新聞の社外秘「職場会議(部会・室会・センター会など)説明用資料」を入手したと報じている。そこには、13年度に3135億円の売上高があったが、15年度には2748億円へと落ち込んだ。3000億円を割り込むのは30年ぶり。16年度ではマイナス500億円超の恐れがあるという。

   背景には、当然だが、急激な部数減がある。12年度には762万部あった発行部数が、670万部まで落ちているそうだ。そのために17年度からの「給与改定・定年延長」に対する社員の理解を求めているという。たしかに朝日新聞が所有している不動産からの収入は増えているようだが、本業が細っているのでは、新聞社として胸を張るわけにはいくまい。

   もちろん他の新聞も同様であろう。部数1000万部近くの新聞が2紙もあったのがそもそもおかしかったのだ。昔、読売新聞の務台会長がいっていた。「新聞の適正部数はせいぜい600万部程度」だと。そのためには社員を現在の半分以下にしなければやっていけはしまい。その時が来たようである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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