隠れブラック企業を撲滅せよ!電通自殺突き止めた『かとく』強い調査権限で摘発

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   表向きは有給休暇の取得や残業制限を掲げるホワイト企業が、裏に回れば長時間残業は当たり前という隠れブラック企業が横行している。これを摘発するための強い調査権限を持つ「過重労働撲滅特別対策班」(通称かとく)が東京と大阪の労働局につくられた。これまで大手企業5社が摘発されている。電通の新入女子社員の自殺が過労死と認定された事件を摘発したのもかとくだった。

勤務記録押収して改ざん発見

   大阪のかとくが和食のファミリーレストランチェーン「サトレストランシステムズ」(和食・さと)の強制捜査に入ったのは昨年12月(2015年)だった。「長時間勤務が隠れて行われている」という内部告発をきっかけに捜査に乗り出した。

   全従業員1万人分の勤務記録を押収し、一人ひとりの勤務記録を調べたところ、ある社員の残業報告は1か月15日間で1日2時間、合計30時間におさまっていた。しかし、かとくが残業時間申請の書類とデジタル入力された出退勤の記録を照合したところ、この社員は1日8時間を超えた分の労働時間の集計が1月68時間38分あったことがわかった。

   デジタル入力された出退勤の記録を疑い、交通系ICカード調べると、社員が勤務する店舗の最寄り駅の改札口を通ったのは朝7時30分、その直後の7時36分に店舗のカギを開けた記録が残っていた。ところが、勤務記録の出勤時間は午後12時15分とあり、4時間39分の空白が見つかった。

   こうした記録に手を加えた痕跡は随所に見つかったという。かとくが従業員32人から事情聴取をしたところ、残業時間の改ざんは本社からの指示ではなく、店舗ごとに現場の判断で慣例として行われたことがわかった。

   20代の元社員によると、店舗ではパートやアルバイトが足りない時間を店長や正社員が日常的に穴埋めしていたが、給料には反映されていなかった。「給料明細と自分が働いている体感が違うので、店長に聞いたら『残業時間は俺がいじっている』と言われ、『恨むなら俺個人を恨んでくれ』と言われました。飲食業なのでしょうがないというか、という諦めもありました」と話す。

   大阪労働局かとくは9月(2016年)に事業推進部長1人と店長ら4人を労働基準法違反で大阪地検に書類送検したが、前村充主査は「労働時間の実態を組織的に管理できていない会社が少なくない」と指摘している。

従業員が長時間労働甘受する「滅びの美学」

   鎌倉千秋キャスター「そもそもなぜ隠れブラック企業が出てきたんですか」

   ワークライフバランスを研究している東レ経営研究所の渥美由喜主任研究員はこう説明する。

「2008年のリーマンショック以降、ブラック企業の存在が次々と明らかになり、企業は時短の取り組みを徹底するなど制度的に整え、ホワイト企業を目指しました。しかし、経済状況は改善せず、売り上げ増を図るために長時間労働が常態化、コストカットなどの人件費抑制で隠れブラック企業が広がっていったんです」「そうした中で、若い時に長時間労働が評価され、管理職になって部下に働き方を強いる人たちが横行しています」

   電通には社員心得として、「取り組んだら離すな。殺されても離すな」など『鬼十訓』というのがあり、電通社員の働き方を象徴していると言われる。そんな社風にどっぷり浸かる管理職や社員たちを、渥美主任研究員は「滅びの美学」と皮肉っている。

NHKクローズアップ現代+(2016年11月2日放送「まん延する『隠れブラック企業』~密着 特別対策班~」)

文   モンブラン
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