コンビニ店オーナー悲鳴!フランチャイズ契約が守られない・・・本部の客数予測届かず休日もないのにロイヤリティ

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   年商10兆円、流通業界でひとり勝ちのコンビニに異変が起きている。イケイケの本部に対し、過酷な経営環境を生きる店舗のオーナーたちが声を上げ始めたのだ。兵庫・姫路で開店して13年になる酒井孝典さん(56)は、本部に異議申し立てをした。契約にある「共存共栄」が守られていないと契約見直しの交渉を求めたのだ。

   フランチャイズ契約は本部がノウハウを提供し、オーナーはロヤリティを払う。両者の立場は対等で、「共に相互発展を目指す」となっている。酒井さんの契約は、ガイドラインでは年収目安は2年目で700万円、オーナーの休日(標準モデル)は年間52日となっていた。

   しかし、実際の客数は予測に及ばなかった。利益確保のためアルバイトを削って自分が店に立つ。週に3日は夜9時から翌日昼まで徹夜だ。日勤も入れると週に7日出ている。年間の休みはゼロ。「家族旅行は日帰りしか行ったことがない。戻ったら店に出る」

   純利益3823万円から本部へのロイヤリティが1863万円、アルバイト給料988万円、光熱費など684万円を引くと、営業利益は288万円にしかならない。同じタイプの契約の2500店の経営状況が明らかになったが、4割近くが年収400万円を下回っていた。

   酒井さんが契約見直しを求めたのにはもう一つ理由がある。契約更新が「本部の自由な判断で」と不確かなのだ。現に3割が再契約されていない。再契約の基準を明確にしたい。40代で脱サラして、50代で生活の糧がなくなってはかなわない。

労働委員会「店長らとの団体交渉」命令

   オーナーにとって経営環境は厳しい。この5年で店舗は2割以上増え、5万4451店(2016年9月現在)と飽和状態だ。既存店の来店客数は7か月連続でマイナスになっている。

   京都で2001年に開店した船引聰明さん(69)は、昨秋(2015年)に店をたたんだ。初めは好調で、手元に1000万円が残る年もあった。ところが、4年前にライバル社が近くに3店オープンし、同じ系列も2店舗出た。「集中出店戦略」というやつだ。売り上げはほぼ半減したという。「同じマークがきつかった。懸命にやってるのに、本部に裏切られた感じだった」と話す。

   オーナーたちは団体交渉権を求めて労働委員会に救済を求めた。これを受けて、2014年に岡山労働委員会はセブンイレブン・ジャパンに、15年に東京労働委員会がファミリーマートに団体交渉を命じた。「事業者同士だが、力に差がある」とオーナーを労働者と認めたのだ。画期的な判断だが、2社は中央労働委員会に持ち込んで争っている。

   愛知大の木村義和准教授は「契約では対等でも、本部の方がはるかに強いと労働委が認めつつあります。ちょうどプロ野球の選手会と球団本部のような。個人事業者でありながら、労働者でもあるという判断です」という。「交渉が認められると、両者の力関係に劇的な変化をもたらすでしょう。現在は加盟店の犠牲で成り立っていますが、それがなくなる。他のフランチャイズ産業への影響という点でも大きいですね」

外食、ホテル、学習塾、介護、福祉業界にも不満拡大

   フランチャイズ産業は新しい産業だ。コンビニを筆頭に外食、ホテル、学習塾、介護、福祉と広がり、14年で市場規模は24兆円にまで拡大した。成功したビジネスモデルを持つ本部とフランチャイズ契約することで、脱サラ、独立、起業での成功率は高くなる。むろん、あやふやな「本部」もあって、パソコン教室などで失敗する例も後を絶たない。法整備が不十分なため、情報開示やオーナー側の権利などに不備があると専門家は言う。

   コンビニはますます便利になって、「淹れたてのコーヒー」「おでん」から「荷物受け取り代行」「防犯」にまで及び、「社会インフラ」とも呼ばれる。他のフランチャイズ産業の可能性を示す尖兵でもある。

   小説「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんがゲストで、今もアルバイトをしているというが、さすがに経営の話は小説にはならないらしい。

NHKクローズアップ現代+(2016年11月17日放送「好調コンビニに『異変』あり」)

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