2018年 12月 11日 (火)

<山田太一ドラマスペシャル「五年目のひとり」>(テレビ朝日)
素敵なドラマありがとう!東日本大震災から「まだ5年」癒されない被災地の心情描いた秀作

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   2014年に放送され、芸術祭賞大賞、ギャラクシー賞優秀賞、放送文化基金賞最優秀賞、日本民間放送連盟賞優秀賞など数々のテレビ賞を総なめにした「時は立ち止まらない」のスタッフが再結集し、震災ですべてを失くしたある男の5年後を描いた。脚本・山田太一、演出・堀川とんこう、主演・渡辺謙。

津波で家族8人いっぺんに失った男

   文化祭の帰り道で、中学生の松永亜美(蒔田彩珠)は見知らぬ中年男に呼び止められる。文化祭で演じたダンスを「キレイだった。いちばんだった。君が1番だったよ」と褒めて立ち去る。嬉しくなった亜美が兄(西畑大吾)にその話をすると、心配した母(板谷由夏)が警察に電話したために大ごとになってしまう。

   その中年男・木崎秀次(渡辺謙)は複雑骨折で半年ほど入院していたが、リハビリを兼ねてこの街のパン屋で働いている。パン屋の主人は見た目も立派な木崎が無給で働いてくれるということを訝るが、知人(市原悦子)の紹介ということもあり、手伝ってもらうことにした。

   実は木崎は東日本大震災の津波で家族8人をいっぺんに失うという壮絶な体験をし、心の傷はいまだ癒えずにいた。亜美に声を掛けたのは、亡くなった娘に似ていたからだった。

蒔田彩珠の自然な演技、高橋克実のパン屋もいい味・・・

   東日本大震災ですべてを失った孤独な男の再生するまでが描かれるが、男と少女の疑似恋愛のような感じもあり、ドキドキするストーリーだった。とくに亜美役の蒔田彩珠の自然な演技がいい。パン屋の主人役・高橋克実もいい味を出していた。

   ただ、パン屋の主人が簡単に他人の住所を教えたり、女子中学生が一人暮らしの男性の家を訪ねるなど、ありえないと思うシーンもあったが、そんな瑕疵など気にならないほどいいドラマだった。少女のためにと街を離れる木崎。最後の別れのシーンは涙が止まらなかった。

   「もう5年じゃない、まだ5年なんだ」

   被災者に寄り添う山田太一の台詞が刺さった。いいドラマをありがとう。(2016年11月19日よる9時)

くろうさぎ

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