2018年 9月 20日 (木)

蒔田彩珠「素朴な中学生」好感!悪人一人もいない「丸ごと山田太一」東日本大震災の癒し
<山田太一スペシャル 五年目のひとり>(テレビ朝日)

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   縦横斜め丸ごと山田太一調である。セリフで「はい」という場面が多かったり、悪人が全く出てこなかったり、主人公がインテリだったり。今回も同じ。5年前の東日本大震災で妻、息子、娘、両親、義父母など身内を根こそぎ失った獣医の木崎秀次(渡辺謙)が、福島の知人・花宮京子(市原悦子)の紹介で「ここだけのパン屋」店店主の上野弘志(高橋克実)に無給で雇われるところから始まる。
   ある中学のブラスやダンスの発表会で木崎は亡き娘の礼子と瓜二つの中学生・松永亜美(蒔田彩珠)を見つけ、歩道橋の上で「君がいちばん上手くて美しかった」と褒めて怪しまれる。木崎は骨折で入院していたというのは嘘で、ひとりになった絶望を仕事で埋めているうちに自分がおかしいと1年間入院していたのだとわかる。
   亜美には仲のいい友人が2人いて、木崎のアパートを掃除したり、次第に「変なおじさん」が家族を喪失した「まともなおじさん」とわかってくるプロセスがよく描かれている。亜美の母親(板谷由夏)は今時の主婦の代表的考え、父親(柳葉敏郎)は家庭では蟻のように小さくなっている存在だが、人間の器を喝破するだけの目は持っている男。平凡だが堅実な家族に育てられた亜美が、いつしか木崎の癒しに貢献する。亜美役の蒔田の素朴中学生ぶりがとてもいい。
   渡辺謙は心の中の荒涼たる風景があまり伝わらない芝居だが、大スターを据えないと視聴率が取れないのだろう。演出・堀川とんこう。(放送2016年11月19日21時~)

(黄蘭)

採点:1.5
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