2024年 4月 24日 (水)

超高層ビル、ネット社会を雷直撃・・・避雷針で防げない被害拡大

   超高層ビルが増え続ける現代の、新たな雷被害の実態がわかってきた。避雷針では防ぎきれずに屋上の角や側壁を直撃し、コンピュータで制御される電子機器を一瞬で破壊する。夏だけとも限らない。空からの脅威にどう対処したらいいのか。

   風力発電施設を襲う雷の映像が流れる。冬の雷は夏の100倍のエネルギーを発することもあるという。とくに日本海側で多発し「一発雷」とも呼ばれる。

   実は、都市部でも被害が発生している。都心一等地の超高層ビルやホテルを直撃し、屋上の一部や外壁を粉砕する。コンクリートの破片が凶器となって地上を襲う。大学の研究者や専門家10人余でつくる団体が調べると、全国で少なくとも10棟が被害に遭い、うち9棟が100メートル以上の超高層ビルだった。これまでは、わかると財産価値が下がるからと表に出なかった。

都庁、国会議事堂でも被害

   エネルギーを一瞬で放出する雷を防ぐために避雷針があるはずだが......超高層ビルでは完全には防げないのだという。地上20メートルを超す建物には避雷針設置が義務づけられている。しかし、離れた雷が横から襲うことがわかってきた。

   都庁で平成11年、地上180メートルの側壁を直撃し、破片が落下した。この時はけが人は出なかった。国会議事堂でも平成15年、60メートルを超す頭頂部に雷があたり、御影石がワイヤー入りのガラスをつき破り、1階の食堂に落ちた。

   対策普及に取り組む雷害リスク低減コンソーシアムの妹尾堅一郎さんは「避雷針は一種の誘雷針。全部の雷が必ずしも誘導されず、ミスショットとよんでいるが、横に回ってしまうことがある。避雷針だけで防げると考えないほうがいい」と話す。

   建築基準法は平成17年に改められ、ビル側壁や屋上角に金属板をはるなどの雷対策を盛り込んだが、被害に遭った10棟は対策をとらず、中には法改正後に建ったビルもあった。国が新旧いずれかの対策に適合すればいいとしてきたためだ。

   横山茂・静岡大学客員教授は「国の方針が新築でも古い基準でもいいと、対応を曖昧にしてしまった」と指摘する。経過期間としているうちに被害が続いた。業界側も新基準に合わせるには数百万から1000万円以上のコストがかかるため、古い基準ですませることが多かったらしい。

   司会の松村正代アナが「人的被害はどうなのですか」と問いかける。NHK社会部の島川英介記者は「いつおきてもおかしくない」という専門家の見解を伝えた。

   超高層ビルは全国で2500棟あり、今も増え続けている。民間の気象会社は関東や東海で数時間に2000から3000の落雷を観測したこともある。「高層化が危険を顕在化させました」

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