2024年 4月 25日 (木)

「喫煙」罰則化!IOCは五輪開催国に受動被害の法規制要望

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   喫煙のルールが新たな法律規制で大きく変わろうとしている。厚生労働省はタタキ台として公共機関の施設内での禁煙、遊技場や飲食店内での原則禁煙を打ち出した。受動喫煙による健康リスクが判明したことや「たばこのないオリンピック」を進めるIOC(国際オリンピック委員会)が開催国に喫煙の法規制を求めているのを受け、受動喫煙防止の強化に踏み切ることにしたのだ。

   とくに屋内での喫煙を重視した厳しい規制で、違反した場合は罰則も検討されている。

   オリンピック開催地となったイギリスやブラジルでは、学校や病院といった公共施設だけでなく、飲食店も罰則付きの法律で禁煙となった。では、世界の常識からみて日本の現状はどうなのか。WHO(世界保健機関)のジュディス・マッカイ上級政策顧問が東京の喫煙事情を視察に来た。

   まず目についてスマホで撮ったのはたばこの自動販売機だったが、「スモーキングエリア」と書かれた屋外喫煙場所では「変わっていますね。こうした場所を他の国では見たことがありません」と評価した。ところが、レストランで一変する。喫煙室を設け、煙を外に出さないようエアカーテンを設置してあるのに厳しい指摘があった。「屋内では煙の拡散を十分防ぐことはできません。喫煙エリアの煙を100%防ぐには、竜巻並みのエネルギーが必要です。完全分煙など不可能です」

「屋内ゆるく屋外厳しい」日本の禁煙―世界の常識は逆

   日本では屋内での禁煙はあくまで努力義務で、罰則もなくゆるい。視察の結果、ジュディス上級政策顧問はこう総括した。「日本のたばこ政策は世界でも最低レベル。2020年までの4年間にたばこ規制を制度化することは重要な目標と思います」

   そこで厚労省が打ち出したのは、受動喫煙防止対策を強化する法律のタタキ台で、「役所や運動施設などの公共施設は建物内禁煙」「学校や病院などはより厳しい、敷地内を含め禁煙」「飲食店、パチンコ店などの遊技場は原則建物内禁煙。完全に区切られた喫煙室設置なら可」という内容だ。違反すると罰則を課す強い規制となっている。タタキ台を作った厚労省健康課の正林督章課長は「世界の常識を日本の常識にしていくという意味はあるかなと思う」と話す。

   その根拠になっているのが、国立がん研究センターが行った過去30年間に発表された喫煙とがんに関する論文の分析結果だ。受動喫煙によって、肺がんリスクは28%、脳卒中は29%、心筋梗塞など虚血性心疾患は23%それぞれ高くなることが分かった。受動喫煙による年間死亡者数は1万5000人と推定されている。

加熱式煙草も有害度は同じ

   最近タバコをやめたというタレントのゴリは「ここまでキツイのでは、やめてよかったな」と納得し、日本対がん協会の望月友美子医師は「屋内は厳しく、屋外はゆるめという世界の常識に日本は逆行し、健康リスクの問題を喫煙マナーに置き換えてスタートしています。前提がそもそも間違っていた」と手厳しい。

   有害物質を大幅にカットできるという加熱式たばこについても、望月医師は「実際に吸った人が出しているのはニコチンやアセドアルデヒドなどの有害成分を含んだ蒸気で、水蒸気ではありません。決して害がないとは言えません」

   今後は飲食店や建物の中はいっさい禁煙、屋外のスモーキングエリアが増えるということだろうか。

モンブラン

NHKクローズアップ現代+(2016年12月14日放送「どうなる?たばこ『新ルール』広がる波紋」)

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