大都会東京のエアポケットを歩く 路地の佇まい活写した演出の冴え
〈佐々木譲サスペンス 警視庁特命刑事☆二人②~新宿・荒木町コールドケース~〉(テレビ東京)

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   テレビ東京の水曜ミステリーには駄作がない。たかが、B級の2時間サスペンスとバカにするなかれ。本作も作家の原作ものの持つ説得力があった。脚本家のオリジナル作品は往々にしてテクニックに走りすぎて人間の内面が描けていないことがある。
   20年前、新宿の荒木町で美人芸者の光子(国生さゆり)が殺された。地上げ絡みの事件だろうと未解決のままで捨て置かれた。今回また、似た事件が起こり、警視庁刑事の水戸部(松重豊)と千津子(山本未来)が取り組む。千津子には過去に娘を亡くした辛い記憶がある。色々と連続で事件が起こり、最後に思いがけない犯人(筆者の推理は命中したが)が逮捕されて終わる。事件の説明はさておき、筆者がこの作品を評価したのは演出である。
   新宿の荒木町と言えば、住んでいる人たちには申し訳ないが、山の手の東京人から見ると、沈んだ場末感のある土地柄である。世界一の大都市・東京の中心部に位置しているにもかかわらず、寂れた田舎町のような哀愁を伴うエアポケット地帯である。そもそもここを舞台に選んだことが、まさに作家の眼力である。水戸部と千津子が2人で歩く路地の佇まいの、何とも言えない空気感が素晴らしい。
   松重も山本も決して若くはなく、人生の塵芥も知っている中年刑事の2人連れ。美観を損なう電柱や電線の目立つ路地を歩く姿が、そこはかとなく、物語全体にただの謎解き以上の香りをもたらした。(放送2017年1月25日21時~)

(黄蘭)

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