ネットでお仕事受注―ホントに時間も場所も自由?超低額ギャラ、長時間業務の落とし穴

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   育児や介護の合間にお金を稼ぎたい、時間や場所に縛られない働き方をしたいなど、クラウドソーシングと呼ばれるインターネットの仲介サイトを通じて仕事を請け負う新しい形の働き方が広がっている。記事の執筆、プログラミング、家事代行などさまざまな職種が並ぶ。仕事の発注元も人手が欲しい時に安い報酬で発注できるなどメリットが大きい。

   登録者数は330万人を突破し、2020年には1000万人以上に増えると言われている。ところが、低賃金、長時間労働、使い捨てといったブラックアルバイトのような過酷な実態も見られた。

自分の能力追いつかず時給96円

   母親の介護のために小学校教員を退職した都内に住む主婦は、仲介サイトを介してベビーシッターの仕事を請け負っている。子どもを学校に送り出した後、発注元の家庭に出かける。元教員の経験を最大限生かして絵本を読んだり、字を教えたりする。1時間の料金は3312円、月収の平均が10万円を超えるようになった。主婦は「家族とこういう時間を過ごしたいという思いがスケジュールを組みながら叶えることができるようになりました。とても助かっています」と話す。

   しかし、トラブルも少なくない。大手IT企業 「DeNA」が運営していた医療系まとめサイトは、著作権侵害や根拠に欠ける記事が多数掲載していることが発覚して閉鎖に追い込まれた。記事の執筆を請け負っていたのは、仲介サイトで依頼した関西に住む40代の女性だった。女性は子育て前は医療関係に従事していて、仲介サイトでこの仕事を見つけた。

   報酬は1200字の記事1本で600円だが、仲介手数料120円が差し引かれ手取りは480円だった。しかも、医療関係のために事実確認しなければならないこなどが発生し、1本書き終えるのに5時間もかかる大仕事になってしまった。

   「時給に換算すると96円。安すぎて信じられないくらいでしたよ」

   いくら書いても報酬は上がらず、数をこなすためにすでに公開されている記事を下書きにして書くようになった。ただ、自分の能力を考えずに仕事を引き受けた責任はないのか。雇用と違って業務委託だから、仕事をしていれば報酬が上がるというものでもないし、能力不足をカバーしてくれる人もいない。引き受けた方の甘さもある。

   長時間労働や安給料のためIT会社を退職したエンジニアは、ネットなら実力で仕事ができる考え、仲介サイトで仕事を請け負うことにした。しかし、受注した仕事は納期間際の変更や修正が相次ぎ、「夜中に変更や修正の指示が来るのでノーとは言えない。発注者の立場が強い世界ですから、言いなりになるしかないのです」

平均月収「7万3000円」きびしい受注競争

   こうしたネットワーカー1000人の平均月収を調べてみると、専業で7万3268円、副業で3万249円。80万人の登録者抱える大手仲介サイトの調べでは、月収20万円超のワーカーは8000人に1人程度しかいない。

   「改善の方法はあるんですかね」という松村正代キャスターはいう。ゲストのデープ・スペクター氏(放送プロデュサー)はこう答えた。「どこにも所属したくない、自由でいたいという願望の人で、同じような仕事ができる人は何千、何万人もいるんです。当然、価格競争になってしまう。安くていやだったら、どこかに就職せざるを得ないんですよ。そのバランスをどこで線引きするかなんです」

   厚生労働省は「課題があることは把握しているが、まずは実態調査から」と話しているという。

クローズアップ現代+(2017年2月1日放送「副業貧乏に内職地獄?『ネット・ワーカー』残酷物語」)

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