2019年 11月 13日 (水)

清水富美加「出家」は「幸福の科学」芸能路線か? 石原元知事めぐってスタンス分かれた「新潮」と「文春」

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   「幸福の科学」という新興宗教団体と訴訟合戦になったのは、私がフライデーの編集長1年目だから、1991年の夏頃だった。統一教会などとは違って、緩やかなサークル活動のような団体で、教祖の大川隆法が東大出だから印象もよかったのだろう。

   信者が増えていると聞いたので、この教団を連載で取り上げることにした。大川は大学を出て中堅商社へ入り、退社して「幸福の科学」をつくった。

   1回目は、退社したときの経緯にもサラッと触れたが、大川としてはあまり触れてもらいたくない話だったのだろう。   フライデーが発売された翌週の月曜日、朝、講談社へ行くと、入り口からエレベーター前まで大勢の人で溢れ、口々に「フライデー編集長を出せ」「社長を出せ」と騒いでいるではないか。

   社屋に入ろうとすると総務の担当が私のところへ来て、「幸福の科学」の信者達で、フライデーの記事が許せないといっている。だから奥にあるエレベーターで上がってくれというのだ。

   私は、編集長に会いたいというのだから、オレが出て話を聞こうじゃないかといったが、担当者から「気の短いお前が出ると挑発して、よけいに混乱するからやめてくれ」と頼まれ、仕方なくその場を離れた。

   その日から、社内のすべてのFAXに信者達からの抗議文が48時間流れ続け、用紙をまとめてみたら重さは2トンにもなった。もちろん電話も全国からの信者達の抗議で使えなくなった。

   歌手の小川知子や直木賞作家の影山民夫らが先導して、毎日のように講談社の前を「フライデー廃刊」「社長は辞めろ」とデモを繰り広げ、ワイドショーを始めテレビは連日、この話題で持ちきりだった。

   先方はフライデーの記事が名誉棄損に当たる、講談社側は業務妨害だとして、お互いが告訴した件数を合わせると50件近くにもなった。最高裁まで争われたケースが多いが、そのほとんどは講談社側の勝訴で終わった。

   その最中に影山が、自宅で入浴しているときに火が出て焼け死ぬという不幸な"事故"も起き、私の編集者人生でも忘れられないことの一つである。

   今週は週刊文春も週刊新潮も、女優の清水富美加(22)が、突然女優を引退して「幸福の科学」へ入り、「出家」するといいだした件を詳しく報じている。

   清水は15年にNHKの朝ドラ『まれ』でヒロインの同級生役を好演して人気が出たという。

   両誌によると彼女の両親も信者だったが、数年前に離婚し、2人の姉は母に付き、富美加は父親と暮らしているそうだ。

   辞めた理由は、信仰のこともあるが、憧れて入った芸能界が考えていたところとは違う、水着の仕事をさせられるのがとても嫌だったと、教団側はいっている。

   CMや撮り終えた映画の違約金の問題もこれから出てくるのだろうが、なぜこの時期に引退なのか?

   週刊新潮でジャーナリストの山田直樹が、教団側の事情を語っている。それによると、ピーク時には信者数13万5000人といわれ、そこから諸々引いても150億残り、それで銀座や赤坂などの土地を買い漁ってきた。

   だが09年に政党・幸福実現党をつくり、自民党より過激な右寄り路線をとることで信者離れが起きた。また10年に持ち上がった妻との離婚問題などで、お布施が激減したという。

   大川の長男は昨年から教団系の芸能プロ社長になっていて、10人ほどのタレントや役者がいるそうだ。そこに清水を入れ「総裁は創価学会員である石原さとみの存在をかなり意識している」(元幹部信者)ようなので、清水を「幸福の科学のさとみ」にしたいというのである。

   ここは出版社を持ち、大川総裁の本を毎年大量に出して、それを信者達に大量に買わせてベストセラーにするという"商売"もやっている。

   こうした新興宗教のやり方はみな同じである。信者達からどうやって、どれだけカネを巻き上げるかだ。どんな宗教を選ぼうと自由だと思うが、入れ込みすぎて肉親や周囲の人間を不幸にするようなことがあってはならない。

   清水は、今の教団の実態がどうなのか、入信したために親や周囲の人間を泣かしてはいないか、この機会にじっくり考えてみてほしいと思う。

週刊新潮に石原元知事語っているが...

   さて、今週の注目記事は週刊新潮の石原慎太郎インタビューである。小池都知事と対決する前に、心の内をある程度明かしている。

   週刊文春は、石原が都知事時代、舛添元都知事なんぞ比べものにならないくらい血税で豪遊していたことを、詳しくレポートしているので、そちらも合わせて読むといい。

   石原がいいたいのは以下のようなことだろう。

「築地市場の豊洲移転は、私が知事に就任した1999年4月の時点で既定路線になっていた」

   老朽化して衛生面やアスベスト問題もある築地を存続させることは好ましくないと考えていた。

   そこで当時の福永正通副知事が東京ガスと交渉していたが前に進まないので、「リリーフとして濱渦(武生特別秘書、後に副知事)に一任することにした」

   交渉内容は濱渦に一任していたので微細な報告は受けていなかったが、土壌の汚染問題についての議論はあった。

   また、豊洲の整備費用が当初4000億円といわれていたのに6000億円に膨れあがり、石原の元秘書が専務執行役員を務める鹿島建設が90%を応札していることについては、「元秘書を通じて口利きをした事実はありませんし、そんなことができる時代ではない。しかも、施設の入札が行われたのは私が知事を辞職してから」だと話している。

   だが、長年都政を私してきた石原なら「よろしく」のひと言で動いたことは想像に難くない。この辺りは突っ込みどころ満載であろう。

   都知事選のとき小池に対して吐いた「厚化粧の大年増」発言は、「これは本当によくなかった。やはり女性の化粧のことは言っちゃいけない」と殊勝だが、小池の目標は総理だという声があるがと聞くと、「それは到底、無理でしょう。彼女には政治家にとって、また、リーダーにとって必要な発想力がありません」と完全否定。

   レトリックはうまいが、東京改革を謳いながら、小池がいったい何を改革したいのかがさっぱり理解できないという。

「いまの彼女には役人をその気にさせるだけの発想もリーダーシップもないんだ、残念ながら。今の小池都知事には都知事としての活躍は期待できそうもない。むしろあまり大きな期待などしないほうがいいんじゃないか」

   石原は、自分には発想もリーダーシップもあったといいたいようだが、今のこのお粗末な東京をつくった戦犯のひとりであることをお忘れのようである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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