芸能人は「労働者」なのか「芸術家」なのか?相次ぐトラブルに厚労省も警告

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   芸能人が所属する芸能事務所と『独立』を巡りトラブルになるケースが増えている。芸能人は労働者と捉えるべきなのか、雇用関係のない事業主同士の契約なのか。

   突如引退を表明し、所属事務所とトラブルになっているタレントの清水富美加の代理人は、事務所との契約は通常の社員が会社と結ぶ雇用契約で、タレントは労働者に当たると主張する。この考えに基づくと2月末(2017年)に契約解除できるという。これに対し、事務所は専属芸術家契約で労働者には当たらず、契約の途中で一方的に契約解除はできない、契約は来年5月20日(2018年)まで有効だと主張している。

芸能事務所「金かけてデビュー。独立されたらモト取れん」

   対立のもとには、多くの芸能事務所が導入している統一契約書に対する考え方の違いがある。統一契約書を決めた音楽事業者協会は、芸能人と芸能事務所は支配・従属する雇用関係ではなく、スケジュールや著作権などを一元管理する事務所と対等独立の芸能人との業務提携契約だという。

   これに国が一石を投じた。「働き方改革」を進めるなかで、厚生労働省は昨年(2016年)11月に音事協など芸能団体に送った文書には、「芸能人も労働者として扱い、雇用契約とみなすこともあり得る」という認識が示されていた。厚労省労働基準局の志村労災管理課長は、「事務所が売り上げのために所属する芸能人を指揮命令して使い、労働者と認定されるケースが相当多いですね。形式だけでなく実態として判断していこうということです」と話す。

   統一契約書では芸能人側が契約解除するときは事前に書面で承諾を求めるように規定されているほ一方、事務所側は一定期間契約を延長できる権利が認められている。音事協は「芸能人の仕事は関係者が多岐にわたり、仕事を完遂させないと多方面に迷惑がかかる」とその理由を挙げる。

   しかし、ある芸能事務所の関係者はこんな本音を漏らした。「新人を売り出す費用が1億円とか2億円。歌手ならボイストレーニングやダンスを習わせたり、住むところやマネージャーの人件費、プラス広告宣伝費など、突然やめられたり、独立されたりしたらでそれまでの投資がむだになってしまう。正直いうと、ふざけるなですよ」

太田光代「日ごろから密なコミュニケーション」

   「どうしたらいいんでしょうね」と杉浦友紀キャスターが聞く。弁護士の紀藤正樹は「芸能事務所も芸能人本人も、テレビ業界を含めて、全体の中で芸能人が独立する際のルール作りをきちんとしないと、独立が騒動になってしまうんですね。この業界を監督しているのは経済産業省でしょうから、経産省が標準契約みたいなものを作成して提示することも一つの考え方だと思います」と提案する。

   お笑いコンビ「爆笑問題」など30人の芸能人を抱える芸能事務所の太田光代社長は、「タレントを預かる立場としては、もう少しコミュニケーションを取っていき、お互いの意見の疎通を図れるようにして入ったらいいかなと思いますね。堀北真希さんがとても美しい引退のされ方、きちんと順序経ってお辞めになった。とても爽やかな感じで、やり方によって全くイメージが違ってくるのですね」

   芸能人と言われる人は、業界団体に所属している人だけで約3万人いるという。そこで生き残っていくのは「契約書」だけでは難しいのだろう。

モンブラン

クローズアップ現代+(2017年3月1日放送「芸能人が事務所をやめるとき ~『契約解除』トラブルの背景を追う~」)

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