2024年 3月 29日 (金)

豊洲どころじゃない「石原都政」こっちの重大責任!都税1000億円ドブに捨てた新銀行東京

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   村上春樹の新作「騎士団長殺し」(新潮社)を買った。発売当日の夜、芳林堂書店高田馬場店に行くと、入り口にピラミッドのように積んであった。レジのカウンターの前にも相当数置かれていた。たしか、(第1部)だけで50万部。それに発売前に10万部増刷したというが、それにしてはピラミッドがそう崩れてはいなかった。刷り過ぎではないのか。

   アマゾンのカスタマーレビューを覗いてみた。評判は極めてよくない。「性描写が気持ち悪い」「自己模倣の駄作」「こんな小説を絶賛しなければならない評論家諸氏には、心底ご同情申し上げます」

   「1Q84」(新潮社)は面白く読めたが、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(文藝春秋)は読み通したが、疲れた。新作を読み始めた。すぐに人妻とセックスする話が出てくる。春樹流というか読みやすそうではある。

   週刊新潮でHONZの成毛眞が「村上春樹の新作を『体験』してみた!」というのを書いている。<この本の楽しみ方のひとつに、各章の見出しをじっくりと頭に刻み込んでから、本文を読むということがあると気がついた。この体験はまったく新鮮で、手元に置き数年後にはもう一度じっくり読んでみることになるだろう>

   毎回、なんだかんだといわれてもミリオンセラーになる作家は、出版社にとっては神様である。神様、仏様、村上様、ありがたく読ませていただきます。全部読み終えたら読後感を書くからね。

身内や都議らの口きき融資で次々焦げ付き

   さて、石原慎太郎と小池百合子が豊洲移転問題で火花を散らしているが、今週の週刊文春がやっている、石原の知事時代につくり、血税を1000億円もつぎ込んで杜撰な融資を繰り返した新銀行東京の責任のほうが重いと思う。中小企業向けに特化した銀行という発想はよかったとは思うが、何のことはない、石原の身内、彼と親しい人間や都議会自民党の議員たちが口利きしたリスクの高い融資先にばら撒いたため、多額の資金が焦げ付いてしまったのだ。

   都が出資した1000億円のうち850億円は減資などですでに毀損し、2008年に決めた追加出資400億円については、昨年、新銀行東京と経営統合した東京フィナンシャルグループの株式と等価交換している。だが、東京フィナンシャルグループの株価が下がれば、さらに都民の損失が膨らむということになる。週刊文春によれば、この問題で石原の責任を問う住民監査請求が出るそうだが、こちらはいい逃れできないはずだ。

   一方の小池都知事のほうは豊洲移転問題をどのように解決するつもりなのだろうか。週刊ポストはこの移転問題は重大局面を迎えていると報じている。年の瀬の昨年12月18日(2016年)、小池は都内のホテルで中国ネット通販最大手のアリババ・グループ創業者ジャック・マー(現会長)と極秘会談したという。会談自体は他のメディアでも報じられた。小池とマーはともに、世界銀行主導で設立された「教育のためのグローバルパートナーシップ」の委員を務めているそうだ。以来、2人は親交があるとされ、アリババが冠スポンサーとなったサッカーのクラブ・ワールドカップ観戦のために来日したマーが、旧知の小池知事を表敬訪問したということになっている。

   しかし、アリババ側には腹案があったという。ニューヨーク証券取引所に上場しているアリババ・グループは、時価総額世界13位(今年1月末)という巨大企業である。マーの個人資産だけでも約3兆円と推定されている。今年1月、アリババ・グループは国際オリンピック委員会(IOC)と8億ドル(約900億円)で最高位スポンサー契約を結んだ。IOCと最高位契約を結んでいるのは日本企業ではトヨタやパナソニックなどで、2020年の東京五輪に向けて大々的な宣伝活動に乗り出そうとしているという。

   しかし、アリババは売り上げの大半を本国の中国市場に依存していて、海外での売り上げは8%ほどしかないといわれる。週刊ポストによれば、アリババは日本に巨大な物流倉庫がほしいと考えているそうだ。アマゾンや楽天などと対抗して、日本国内でのネット通販に乗り出す場合、巨大な物流倉庫用地として、豊洲のような東京都心で羽田、成田空港にも近い利便性の高い土地を狙っているというのである。

   また、マーは将来のビジネスを見据えていて、そこをアジアの観光客を呼び込む物販とアミューズメント一体型の集客施設にしようと考えているのではないかといわれているそうだ。

   東京都は豊洲新市場の建設に巨額の費用を投じてきた。総事業費は5884億円に達するともいわれている。都の中央卸売市場関係者がこう話している。<「もし、移転を取りやめて建て替えや大規模改修で現在地に市場を残すなら、築地を売って得る予定だった資金は入ってこない。そうなると豊洲を最低3000億円以上で売却できなければ、借金返済のために都民の税金による補填が必要になってくる」>

   朝日新聞の2月の世論調査でも、豊洲移転をやめるべきだが43%、目指すべきだの29%を大きく上回っている。小池都知事は、豊洲移転をやめて築地市場を再開発するためには、豊洲の土地をアリババに売却するということも腹づもりに入れていると、週刊ポストは推測している。そうすれば両者はウインウインの関係になるというのだが、私には都合のいい推測に過ぎないような気がする。豊洲市場を中国資本に売り渡すということを、東京都民は歓迎しないと思うからである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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