〈「就活家族~きっと、うまくいく~」(テレビ朝日系)〉
どんどん不幸になっていく家族に感情移入 三浦友和主演のドラマは需要あるはず

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   父が三浦友和で、母が黒木瞳、娘が前田敦子で、息子が工藤阿須加。こんな誰が見ても羨ましくなる家族はそうはいない。そんな見るからに幸せな一家の平穏な日常がふとしたことで狂い始めて、どんどん堕ちていくというなんとも意地の悪いストーリーだ。

   人の不幸は蜜の味というが、こんなに不幸が降ってくるとさすがに気の毒になる。とくに、堅物で融通が利かないがゆえに理不尽なことに巻き込まれていく父はまったくなんとかしてあげたいと思う。唯一の救いは、副題の"きっと、うまくいく"。最後の最後には、ハッピーになると信じて見続けている。脚本は「華麗なる一族」「熟年離婚」の橋本裕志。

   大手企業のエリートサラリーマンの富川洋輔(三浦友和)は、そろそろ役員になろうかというところで失脚。会社をリストラされてしまう。その妻で中学の国語教師の水希(黒木瞳)もあることをきっかけに学校での立場が悪くなり、そのストレスからか、ホストクラブ通いするように。長女・栞(前田敦子)も職場のセクハラに悩み、部署異動を願い出るも、異動先の上司はさらにひどく......。就活中の長男・光(工藤阿須加)はなかなか内定を貰えず、焦る心につけ入られ、入塾料30万円の悪徳就活塾に入塾......。と、いう感じでどんどん不幸になっていくから堪らない。

   最初は大学生の息子の就活を中心にした家族の物語なのかと思ったら、息子だけでなく、服飾メーカーに勤める娘、中学教師の母、大手企業人事部長の父までも、家族全員が就活する展開になるとは思ってもみなかった。

   会社を辞めた父が、家族にそのことを言えず、毎朝、スーツ姿で家を出るものの行くところがなく公園で時間潰しをしたり、出張を偽装するために、東京で売っている京都の土産物を買い求め、シール部分を剥がしたり。そんなことをするくらいなら、早く打ち明ければいいのに、と思うが、プライドが邪魔してなかなか言い出せない父にやきもき。

   「富川さんならいつでも歓迎します」と言われていたことを真に受け、かつての取引先相手に就職を頼みに行くもにべもなく断られるという場面があった。相手が必要なのは大企業に居る自分であり、会社を辞めてしまった自分に用はないということを知るシーンなのだが、さすがに世間知らずのエリートでも、次の職を当たってから辞めるのでは!? と思うが、それを言ってはおしまいか。

   さらに、清掃の仕事についた父の担当場所が娘の会社で娘にその姿を見られてしまうというところまでは許すとしても、前の会社の担当になるというのはさすがにやり過ぎではないかと。世の中に清掃会社がたった1社しかないのなら別だが......。

   悪徳就活塾の塾長の国原耕太(新井浩文)、公園で仲良くなった同じ境遇の天谷五郎(段田安則)、洋輔を密かに思い続け、それが叶わないからと、洋輔を窮地に追い込む川村優子(木村多江)など、個性的な演技で脇を固めている。特に、リストラの先輩天谷と洋輔のやりとりが面白い。

中年男性にはきつかったドラマかも

   ある会合でドラマの話題になった時、今期はこのドラマを見ているという男性が多かった。そんな男性視聴者には中年男の悲哀を描いたこのドラマがどう映っているのだろうか。明日は我が身とか? あまりにも生々しくて、もう少しコミカルに描いたほうが多くの視聴者に見られたのでは!? とも思う。

   昨年、映画「64」や「葛城事件」でいい味を出していた三浦友和、連続ドラマの主演は17年ぶりだとか。これを機に、三浦を中心とした大人も楽しめるドラマを制作して欲しい。需要はあるはず。

   いよいよ9日が最終回。バラバラになった家族がどうなるのか。"きっと、うまくいく"ことを願う。(毎週木曜21時~) 

くろうさぎ

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