2024年 4月 25日 (木)

朝鮮戦争以来最大の危機に!米シリア攻撃に続き北朝鮮に圧力、朝鮮半島と日本を包む緊張

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   朝鮮戦争以来最大の危機である。トランプ大統領が米中首脳会談の最中にシリア攻撃を始め、世界に衝撃が走った。

   首脳会談が終わった後、トランプは米原子力空母カールビンソンや空母航空団、誘導ミサイル駆逐艦などを朝鮮半島近海に集結させ、北朝鮮への圧力を強めている。

   一つ間違えれば戦争勃発という最悪の事態も考えられるのに、なぜ、トランプは中国の顔に泥を塗るようなことを始めたのか。それを解き明かしてくれる報道は日本のメディアには皆無である。

   第一の謎は、なぜシリアを突然、空爆したのか。4月4日(2017年)、シリアの反体制派支配地域で、神経ガスを使ったと見られる空爆があり、子供を含む多くの市民が犠牲なった映像が世界中を駆け巡った。それを見たトランプが怒り狂って命令したといわれているようだが、そんな衝動的な大統領に核のボタンを預けていいのか。

   それにニューズウイーク日本版によれば、トランプは選挙中ISIS(自称、イスラム国)を討伐するといってきたのに、突然、アサド政権を打倒しようとしているISIS側に回ったのだ。さらに、シリアにはトランプが"師事"しているプーチンのロシア軍がアサド政権を守るために1万人程度入り込んでいるといわれる。

   ロシアがどう出てくるのか。「攻撃直後のロシアは怒りの声明を発表。米ロ両軍の偶発的衝突を防ぐための連絡システムを停止した。直接の報復行動ではないが、これで米軍の軍事行動はリスクがかなり高くなる」(ニューズ)

   ニューズウイークによれば、アメリカ国内で「プーチンの傀儡政権」といわれている風評を打ち消すために強硬姿勢をとったのではないかいう説もあるという。ロシアの傀儡であっても、それを否定するために他国を空爆したのであっても恐ろしい話だが、この男には世界最大の核戦力を動かせる力があることが最大の恐怖である。

官邸の指示で動くジャーナリスト!?

   後でも触れるが、この国のメディアやジャーナリストの中に、安倍官邸の指示で動いていると思われる連中が多くなってきている気がする。

   週刊文春の巻頭で、「金正恩"斬首"秒読み、政府が覚悟『最悪シナリオ』」を書いている山口敬之(元TBS記者)にも、そんな匂いがしてならないのだが。

   導入部は、9日早朝、安倍首相がトランプとの緊急電話会談に臨んだ話から。トランプはそこで「シリア攻撃を安倍が支持した」ことへの謝意を述べたという。だが、安倍としては、化学兵器を使用した確固たる証拠がないため、悩んだ末に「軍事行動ではなく、化学兵器の拡散を抑止する」という"決意"を支持するといういい回しにしたというのだ。

   山口によれば、トランプは習近平に、近く行われるといわれている北朝鮮の6回目の核実験をやめさせるために、中国に対して期限を区切った北への制裁強化を強硬に求めたというのである。

   だが習近平は明確には答えなかったのだろう。そこで北朝鮮へ軍事攻撃も辞さずという強行姿勢に転じたのだが、山口はここで、シリアは空爆したのに「より深刻な北朝鮮に対して、すでに計画立案が終了している『斬首+限定空爆』に踏み切らないのか」というのだ。

   日本政府は衝撃的なシミュレーションを入手したという。それは、シリアと違って、アメリカが先制攻撃をすれば、北朝鮮は韓国のソウル攻撃をやってくる。そうなれば韓国人だけでなく、在韓邦人や観光客が犠牲になる可能性があるからだというのだが、こんなことは、いまさらいわれなくてもと思う。

   ソウルだけではなく、日本の心臓部にもミサイルを撃ち込んでくることは間違いない。だが、山口も書いているように、日本の最新鋭のミサイル防衛システムでも、全部迎撃できるわけではない。

   見逃せないのは結びの言葉である。「覚悟を決める必要がある」。何の覚悟なのか。自衛隊も参加させるがゴチャゴチャいうなということか。官邸の意向を代弁して、われわれに戦争への準備をしておけというつもりなのか。

   衝動的で先の見通しもないまま突っ走るトランプに対して、バカなことはやめろというのが同盟国の役割ではないか。シリアや北朝鮮を攻撃しても、アメリカ本土には当面影響はない。自分たちが安全なところにいて、アジアの火薬庫に火を放てば、朝鮮半島と日本列島は火だるまになる。それをワインでも飲みながら、トランプはテレビで見るつもりなのか。

   週刊新潮によれば、かつて金日成が息子・金正日にこう尋ねたという。

   「アメリカが北朝鮮を攻めてきたら勝てるのか」。金正日はこう答えた。

「勝てないが、朝鮮のない地球はありえない。朝鮮が潰れる時には、地球を破壊してしまえばいい」

   当然だが、韓国では日に日に緊張感が高まっている。日本では、これほどの「重大危機」なのに、メディアも国民も騒がないのはなぜか。

   まさか、トランプが日本を守ってくれると、安倍のように無邪気に信じているのではないだろうが、不可解である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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