昭和のミステリーを平成に置き換え破綻...捜査語り合う刑事にも疑問
〈松本清張没後25年 特別企画「誤差」〉(テレビ東京)~

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   重厚な松本清張作品と絶賛するわけにはいかないドラマだった。何故ならば、筆者が過去の清張作品で何度か指摘したように、清張が小説を書いた時代から半世紀近く経っているのに、平成の現代の話に置き換えたために、あちこちに矛盾や破綻が現れているからである。山梨県北杜市の温泉宿で不倫男女の東京の女・澄子(田中美奈子)の絞殺体が発見されて捜査官が登場する。山岡慶一郎(村上弘明)と伊崎美里(剛力彩芽)、2人の山梨県警刑事である。
   もう1人、不倫女の担当だった旅館の仲居も裏の川で転落死していた。山岡と伊崎は2人の死者を解剖してくれた甲府医科大学法医学教授の立花医師(陣内孝則)が、物凄い変わり者だが、「ご遺体の話を聞いてあげたい」という真摯にして誠実な人柄に好感を持つ。不倫女の本名はソエジマチズコといい、銀座のクラブのママで、繊維会社の総務部長・竹田(小市慢太郎)と命を懸けた恋をしていた。
   竹田の妻(松下由樹)と愛人(田中美奈子)が話し合う場面は、演出も鋭く、なかなか見せたのだが、先述したように、山梨県警の捜査官が何度も何度も東京に出てきて竹田の家を訪ねたり、銀座のクラブに出没したり。今時こんな無駄遣いをするか? 大抵は警視庁に協力を要請して上京なんかするはずがない。新宿大ガード近くの歩道橋上で、山梨県警の2人が長々と捜査状況を語り合う設定もバカげていた。ありえねえ。見どころは解剖の詳細説明だけである。
   (放送2017年5月10日21時)

(黄蘭)

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