2024年 4月 20日 (土)

迷走!市場移転 小池知事は都議選までに判断下せるか?

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   東京都卸売市場は豊洲か築地か。「今年(2017年)夏ごろ」とされていた小池知事の決断が、ずれ込む可能性も出てきた。

   去年8月の移転延期決定の後、豊洲の予定地から環境基準の79倍というベンゼンが検出され、築地の地下からも有害物質が検出された。都議会議員選挙まで1カ月余りの時点にきても「出口の見えない状況」(武田真一キャスター)が続く。都庁内部の証言と小池知事へのインタビューから混迷の実態を探った。

   豊洲新市場に施設や機材を設置した業者には、資金負担がのしかかる。築地市場協会の伊藤裕康会長は「早く決めてほしい。じっと待つしかないが、どうすればいいか、途方に暮れる」と話す。自身が豊洲に設置した冷凍庫の電気代が月200万円かかり、止めると故障の恐れがあるので運転し続けている。新たな経営計画を描けない。

   小池知事の延期判断に理解を示す業者もいる。仲卸業者団体の早山豊理事長は「移転していたら壊滅的だったろう」「時間をかけても、しっかりした話し合いをしたうえで判断してもらいたい」と、慎重な再検証を望む。

   小池知事のもとには、市場問題プロジェクトチームと専門家会議の二つの組織がある。プロジェクトチームの小島敏郎座長は環境省の官僚出身で、小池知事とは15年来のブレーンだ。「豊洲移転は証拠と証言に基づかないといけない」と懐疑的だ。移転延期は小島氏と知事が相談して決まったともいわれる。

   過去にとらわれがちな都庁の職員ではゼロベースから問題を再検討することはできないというスタンスを、小池知事はとる。「これまでと同じ延長線には私は乗らない」と、きっぱり言った。これに対して、延期決定当時の都庁幹部は「何を基準にするのか、政策決定の過程がわからない」と批判していた。

二つの組織の上に「戦略本部」立ち上げ

   この関係に今年4月、変化が現れた。小池知事が職員だけで作る「市場のあり方戦略本部」を立ち上げ、プロジェクトチームの上に位置づけた。トップに据えたのは盛り土問題で処分を受けた中西充副知事だから、賛否どちらの側にもインパクトを与えた。知事は「豊洲、築地それぞれの問題点を見出し、全部を一つの机にのせるということだ」と説明する。小島座長の方は「戦略本部のことは聞いていない。わかりません」と素っ気ない。

   都庁内部からは「外部のブレーンでは打開できないと見たのだろう」との声も上がった。そこへ小島座長が突如、築地の建て替え案を持ち出した。これに小池知事が「一案として受けとめる」と検討に値するとの考えを示し、今度は戦略本部に困惑が広がった。「もう疑心暗鬼で、何をやったらいいか、機能不全の状態だ」ともらす幹部もいる。

   この現状をどう見るか、小池知事は「どんどん進めてきた。ここは問題というところを両方から聞くのは混乱でも何でもない」として、議論はむしろ必要と強調する。

   こうした小池新都政について、元三重県知事の北川正恭さんは「都民ファーストを打ち出して、巨大組織の都庁に情報公開の手法を取り入れてオープンにした。盛り土がなかったという虚偽を明らかにして大きな成果をあげました」「その問題提起の中でまとめのロジックに入ってきた。収束させ、結論を出すのが課題です」と、評価と課題を指摘する。

   たしかに、小池氏がこれまでの知事にない清新さを都民に感じさせたことは間違いない。これまでがあまりにひどかったとも言えるが、改革ムードはハイテンポで醸成されてきた。そこに移転問題の混迷が立ちはだかった形だ。

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