<花戦さ>
世界初の「いけばな映画」はぜいたくな作り 極端なキャラ設定が惜しまれる

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   戦国時代末期、戦乱で荒れ果てた京の都に、花をいけて世の平穏を祈る池坊(いけのぼう)と呼ばれる僧侶たちがいた。そのなかでも、ちょっと風変わりな性格ながら町衆に愛され、いけばなの名手であった池坊専好(せんこう)は、そのいけばなの腕で時の権力者・織田信長を魅了し、豊臣秀吉や千利休をもうならせた。

   名だたる戦国大名の屋敷でたびたび花を立て、千利休とも親交が深かったといわれる実在の人物、華道家元池坊の初代・池坊専好を描いた小説『花いくさ』を原作とした時代劇エンタテイメント。池坊専好を狂言師・野村萬斎、豊臣秀吉を市川猿之助、千利休を佐藤浩市、織田信長を中井貴一、前田利家を佐々木蔵之介、石田三成を吉田栄作が演じる。

   俳優陣の豪華さもさることながら、脚本はNHK大河ドラマ『おんな城主、直虎』の森下佳子、音楽は久石譲、劇中に出てくる水墨画は現代アーティストの小松美羽、題字は書家の金澤翔子が担当、いけばなは名うての池坊講師陣が制作するなど、隅々までなんだかとっても贅沢な作品であった。しかも、これまで信長や秀吉、千利休にスポットの当たった映画やテレビドラマは数多あったが、現在の日本の華道を興した人物を主役に据えた物語というのはとても新鮮。なんでも、いけばなを中心に扱った映画というのも本作が世界初らしい。

  • (c)2017「花戦さ」製作委員会
    (c)2017「花戦さ」製作委員会

名優たちがもったいない

   とはいえ、キャラクター設定がちょっと極端すぎた感はある。織田信長の没後、天下人となった豊臣秀吉は愛息・鶴松の死をきっかけに乱心し、圧制政治を行い、意に沿わない者を次々と死に追いやる。その中には、専好を慕っていた町衆や、ともに美を追求し合った仲間の千利休もいた。専好は秀吉に正気に戻ってもらうため、そして何も語らず自害を選んだ千利休の遺志を果たすために、得意のいけばなで政治を正そうと奮闘する・・・という流れになるのだが、物語をわかりやすくするためか、秀吉はどこまでも暴君、前田利家は顔色うかがいの優等生、石田光成は常に秀吉のご機嫌取りという一面的な描かれ方になっていて、さすがに違和感を覚えた。これだけ名優を揃えているだけに、じつにもったいない。

   そんなわけで、そのようなキャラクターの処理の仕方がいかにも日本のエンタメ映画という感じではあるけれど、戦国時代における華道や茶道の世界が初心者にもわかりやすく、ライトに楽しめるという点では観てよかった。花や茶に興味のある人は一見の価値あり。

おススメ度☆☆☆

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